数学問題集戦略(1)問題集習得の目的と目標

「数学の問題集を習得する、マスターする」とは、全ての問題を「スラスラ解ける状態にする」ことです。これは暗記数学と10回の復習、もしくは口頭再現法で可能になります。

ここでは暗記数学と10回の復習について書いていきます。口頭再現法については【数学勉強法(2)10分で解き方を暗記する口頭再現法】参照。

1.問題集を進める2つの方法

問題集の進め方には2つの方法があります。

1.1.先へ先へ進める方法

一つは多くの人が慣れ親しんだ方法、つまり、先へ先へ進め、復習はしても1,2回で、内容を習得できたかどうかより、その問題集を終えることを最優先にする方法です。そしてたくさんの問題集をこなすことを目的にしています。中学入試用の塾から始まって、塾や予備校では基本的にどこでもこの方法でやっているので、慣れ親しんでいて、周りもそうやっているので、安心できる方法です。

この方法では、問題集をどれだけ習得できたかは気にしません。終えることだけ、進めることだけが目的化しています。本末転倒と言うべきでしょう。
本来、数学の実力を上げるとは、「1回目に出来ない問題を発見し、その出来ない問題を復習して出来るようにすること」なのですが、「出来るようにする」というトレーニングを無視し、「沢山やれば実力は上がっていくはず」という幻想のもと、皆が闇の中を進んでいるのです。
確かに、もともと数学が得意な人は、1,2回だけで実力は上がっていくかもしれません。習得すべきことが少ないから、その少数のことが印象に残って、長く記憶しやすいからです。しかし、普通の人、偏差値で言うと60以下の人は、この方法ではほとんどの場合、進める一方でどんどん忘れていくので、かけた時間の割に実力は上がりません。

ちなみに、塾や予備校が先へ先へ進むのは、純粋に経済的な理由です。塾へ来させ、金を落としてもらうには一番良い方法だからです。それ以上の意味はありません。復習をするのに授業は必要ありませんから、塾へ来る回数が減り、塾の収入が減ってしまいます。よって、いつまでもこの非効率的な方法がまかり通っているというわけです。塾業界を長年見てきた私はそう結論づけました。
早く目を覚ましましょう。

1.2.出来るまで復習する方法

もう一つは、1冊1冊をしっかり習得していく方法です。この方法では、ほとんどの問題を「いつでもスラスラ解ける状態」にすることを目指します。そのためには何度も復習することが必要なので、先に先に進みたがる人には、ストレスのたまる方法です。しかし恩恵は大きく、「いつでもスラスラ解ける状態」にすることで、暗記した解法が長く忘れない記憶(長期記憶)になり、次の問題集を解く際の土台になってくれます。また、1冊をマスターすることで、自信がつき、成績が上がります。

1.3.時間とストレスの問題の解決方法

後者が望ましいのはもちろんですが、問題は2つあります。一つは時間の問題、二つ目はストレスの問題です。
復習を何度もすれば、時間がかかるのではないか、そんな時間はない、という心配です。これは一理あるように見えますが、実際には根拠のない妄想です。以下の2つのトータル時間は、生徒たちの状況を観察する限りでは、大きな差はありません。

 (1)当塾で教える数学勉強法:暗記数学で1問5分以上は考えず、解法を理解して記憶し、その場で解けるようにし、忘れる前(2週間以内)に復習に入ってそのまま5回前後復習し、「いつでもスラスラ解ける状態」にする。そして、章ごとに「進んで復習、進んで復習」を繰り返し、1冊を終える方法。

 (2)普通の高校生の数学勉強法:自力で解こうと頑張り、解けないと10~15分は考え、その場で解けるようにし、先へ先へ進み、1冊終えてから(つまり3~6ヶ月後)、復習に入り、3回ほど復習する方法。

後者②は、1問にかける時間が長いことと、一度解いてから復習するまで時間が空きすぎて、5~8割を忘れてしまうため、前者①より効率が悪い。そのため、トータル時間はさして変わらないのに、習得状態は暗記数学のほうがかなり良くなります。

もう一つのストレスの問題は、以下に述べるような日曜日の復習と、2週間は先へ先へ進む方法で、ある程度は緩和できます。詳しくは以下をお読みください。

2.問題集をする目的:全ての問題をスラスラ解ける状態にすること

数学の問題集をする目的は、数学の実力を上げ、成績を上げることです。そのためには、問題集を1冊ずつマスターする必要があります。マスターするとは、その問題集に収録されている問題の全ての問題を「スラスラ解ける状態にする」ことです。

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3.問題集をする第一目標:問題集全体を1周する

問題集をする第一目標は、問題集全体を1周することです。そして、できれば、1周終わった時点で何回か復習が終わっており、7~8割程度解けるようになっていることです。そのためには、解説の詳しい、薄い定評ある問題集を選び、随時復習をする必要があります。

3.1.解説の詳しい、薄い問題集を選ぶ

薄い問題集とは、問題数が少ないということです。受験に必要な最低限の問題数が載っていて、解説ができる限り詳しい問題集を選びます。問題数が少なければ少ないほど、最後まで終えることができる可能性が高まります。そして復習回数を多く取ることが出来ます。

たいていの高校生は、数学問題集を1回通して最後まで進めることができません。また復習を何回もして、「問題を読んだら、すぐに解法が思いつく状態」にまで持っていくことができる人になると、ほとんどいないと言って良いでしょう。よって、そういう高校生は、「最後まで終えることができる」ことを最優先させ、薄い問題集を選ぶべきです。

3.2.問題集を1回解くことの意義

問題集を1回解くと、「解ける問題と解けない問題を分ける」ことができます。これが問題集を1回解くことの意義です。ただし、1回でやめてしまっては何にもなりません。「解けない問題が解けないまま」になるからです。

4.問題集をする第二目標:10回復習する

4.1.数学の実力を上げるとは、解けない問題を解ける問題にすること

問題集を1回解くと、「解ける問題」と「解けない問題」を分けることができますが、その「解けない問題」を「解ける問題」にすることが、「数学の実力を上げる」ことであり、そうすることで、数学の成績を上げていくことが可能になります。

4.2.何度も復習する

「解けない問題を解ける問題にする」には、何回も復習することが必要です。問題集を1回しかやらなければ「解けない問題は解けないまま」なので、時間の無駄以外の何ものでもありません。

では何回くらい復習すれば、「1回目に解けなかった問題を解ける状態にする」ことができるのでしょうか? これは現状の数学力や記憶力にもよりますが、平均的には5~10回です。よって、5~10回復習することが第二の目標になります。

4.3.復習システムはシンプルな方が良い

多くの高校生は復習が嫌いで、先へ先へ進むのに慣れているため、復習システムは、やりやすく、効果が早めに目に見える形で出ることが望ましい。
そのためには、シンプルな復習システムが優れていると言えるでしょう。例えば、記憶の原理上、「翌日、1週間後、その2週間後、その1ヶ月後」の復習が望ましいとしても、こういう複雑な復習システムを管理できる人は限られるので、オススメしていません。私自身、こういう復習間隔を自分で管理できると思えません。

では、どういう復習システムが良いのか? 当塾では二つの復習パターンを推奨しています。

 (1)毎週日曜日にその週の分を復習する

毎週日曜日に、全科目(といっても2年までは英数のみ)のその週学習した分を復習します。日曜でなくても土曜でも構いません。時間の取れる曜日を復習日と決め、毎週その週の分を復習します。これを続ければ、習慣になって忘れることもありません。時間も1時間程度で結構です。

数学の場合、全問書いて解き直すのが理想ですが、全問書いて解こうと思ったら、1問10分で解けたとしても、6問しか解けません。実際には解答を見直したり解けない問題もあるので、5問以下かもしれません。よって、解けなかった問題が5~6問以下の場合は書いて解き、それ以上の場合は、書かずに復習をします。問題を見て、解法を思い浮かべ、解答を見て確認し、解けた場合はOKで次へ進み、解けなかった場合、思いつかなかった部分を書いて覚え、もう一度解法を思い浮かべて、次へ進みます。

1問当たり4~5分以内で次々記憶していきます。

 (2)二週間以内に復習に入り、10周する

人の記憶は1ヶ月以上持たないように出来ています。人の記憶力にもよりますが、2週間以内に復習すると、まだ覚えているので、復習時間が大幅に短縮できます。よって、当塾では、日曜の簡略型の復習とは別に、2週間以内に復習に入る方法を推奨しています。

その復習システムは、「2週間、次へ次へ進める。14日以内の区切りの良いところまでを1セットとして、そのセットを5~10周する」というものです。

例えば、14日で2章分50ページ(50問)進めたとして、その50問を1セットとして15日目からは2周目に入ります。1周目14日(14時間)かかったとして、2周目は7~10日(7~10時間)で済み、3周目は5~7日で済みます。2回連続でスラスラ解けた問題は外していきます。そうやって5周目は2~3日で済み、どんどんスラスラ解けるようになり、どんどん外していけます。そうやってほとんどを外すことが出来れば、次のセットへ進みます。残った問題は、また日曜ごとに復習して記憶していきます。

こうして問題集の最後まで1周します。

5.問題集をする最終目標:スラスラ解ける状態にする

問題集をする最終目標は、ほとんどの問題について、「問題文を読んだらすぐに解き方が思いつく状態」「スラスラ解ける状態」にすることです。

そのためには、前項で述べたやり方で、セットごとに5~10周しながら最後まで1周終え、そこから更に、×印が3つ以上付いているような、自分にとって習得しにくかった問題を中心に、問題集全体を5~10周します。1周しただけでは、時間が経つとまた忘れていくので、しつこく復習し続けます。

こうすることで最終目標は達成できます。出来るかどうかは、あなたがやるかどうかにかかっています。

ほとんどの問題で、「問題文を読んだらすぐに解き方が思いつく状態」になれば、問題集の内容はしっかり定着し、忘れにくくなると同時に、次の問題集の習得もグッと楽になります。1~2周しかやらずに、先へ先へ進んでいたのでは、一度できるようになった問題も、速やかに出来なくなり、次の問題集へ行っても、前の問題集と同様の問題でつまずき、思うように進めることが出来ないでしょう。

しかも、復習が3~5回を超えると、急速に解けるようになるので、3回の復習と10回の復習は、実はそれほど時間は変わりません。そして10回復習の恩恵は絶大です。

あなたはどちらの方法で進めますか?

6.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

皆さんの健闘を祈ります。

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【創賢塾の勉強法が役立っています】

Fさん(高校1年生、千葉県)

期末テストの結果が返ってきました。

先生に教えていただいた通りに勉強した科目に関しては、90点以上またはトップ3に入ることが出来ました。

点数は、コミュニケーション英語97点(同75点)、論理表現91点(同76点:学年2位)、数学A97点(同65点:学年1位)、現代文84点(平均69点:学年2位)、古文92点(同78点)、世界史91点(同86点)、日本史97点(同87点:学年3位)でした。

しかし、少しサボった科目-数学1:86点(平均72点)、生物基礎83点(平均77点)、化学基礎87点(平均72点)-に関しては満足いかない点数でした。総合では学年4位でした。

反省点がたくさんあるので、夏休みも、教えていただいた、英語の瞬間英作文音読法、数学の口頭再現法、古文単語の暗記法、訳の暗記、品詞分解などをしっかり続けていきます。

英単語の暗記(クイック・レスポンス法)は、出来るだけ毎日2時間やっているのですが、とても効果があり、実際に実践できた日はその日の英単語はほとんど覚えることが出来ています。これからも続けていきたいです。

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