「論理的に考えるにはどうすればよいか。」
これが分かっている日本人は1%もいません。
なぜなら、日本では小学校でも中学校でも高校でも、あるいは大学でも会社でも、「論理的に考える方法」を、どこでも教えてこなかったからです。
学校の先生も塾の先生も、問題集を作る先生方も、「論理的に考える方法」を習っていません。
ですから、論理的に考える方法を知りません。
では、論理的に考えるにはどうすればいいでしょうか?
この質問には、3通りの答え方ができます。
これは「論理的に考える」以前に、「考えるとはどういうことか」に関わる部分です。
考えるとは、単純に言うと、「疑問に答えればいい」。
疑問に答える過程であれやこれや主張や根拠を考えることが、
「考える」ということなのです。
問題提起⇒主張(考え)⇒理由づけ⇒結論
という流れですね。
例えば、
「腰痛を治すにはどうしたらいいか?」
「世界の金融危機をどうすれば立て直せるのか?」
「英語脳を作るにはどうすればいいのか?」
という疑問を立てるわけです。
次に、必要であれば言葉の定義、現状説明をします。
「英語脳とは何かというと…」
「世界の金融危機の現状は…」
次に主張します(自分の考えを述べます)。
「英語脳を作るには……をすればよい。」
「今の経済状況において有効な政策は……」
そして理由・根拠(論理的説明、体験・具体例・引用・科学的データ・比喩)を述べる。
「この方法で英語脳を作ったAさんの体験を見てみましょう。」
「今と同じ経済状況であった1929年の世界恐慌時には
この政策が有効だった。」
「私の叔父がこの治療法で腰痛を治したのです。」
最後に、結論。
「以上のような理由で、英語脳を作るにはこの方法が最も良いと言えるのです。」
「結論として言えることは、全ての人の腰痛を治す絶対的な方法はなく、個人差があること、様々な治療法の中ではAとBとCが現時点では効果と実績の点で抜きん出ているということです。」
一番簡単に論理的に考える(話す、書く)方法は、
「自分が何か主張する時に、根拠・理由を述べる」ことです。
人間が何か主張し、文章を書くのは、
「相手(読者)を説得する、納得させる」ためです。
そしてその説得をより効率的に行う方法を「論理的」と形容するのです。
そして、人間が説得されるためには条件があります。
その一つが「主張の根拠を述べる」ことです。
人間は理由や根拠が分からないと納得しないし、説得されません。
ですから、逆に言えば、
「根拠を述べたら人間は説得されやすい」のです。
論理的な文章には必ず「構造」があります。
(「構造=構成=流れ=筋道=幹=要旨」
と言い換えても良いでしょう。
「0.問題提起をする」で書いたのが、まさにその構造の一例です。
例えば、小論文では、
「問題提起、主張(簡単な結論)、根拠、結論」
などの構成が取られます。
こういう構成にしたら、自分の主張である「結論」を多くの人が納得してくれるから、こういう構成を取るわけです。
このような構成を理解すると、文章の読み方が劇的に変わります。
普通、学生が文章を読む時、文章全体を「平板に」読みます。
1行目も中間も最後も、価値が同じ、重要性が同じに見えるのです。
しかし、事実はそうではありません。
一番重要なのは結論であり、中間の証明の一つの意味が分からなくても、大して問題ではないわけです。
また、構造があると分かれば、「あ、ここは理由を説明しているな」とか、「ここは問題提起だ」「最後に結論を書いているじゃないか」などと分かるわけです。
言い換えると、「名前付け」ができ、高いところから地上を見るように、俯瞰(ふかん)的に文章を読むことができるようになるわけです。
このような構造的読み方ができるようになれば理解が深まり、速く深く読むことが出来るようになり、成績が上がるのは当たり前ですね。
文章の種類によってこの構成は変わりますから、文章の種類に応じた構成を書けるように訓練していく必要があります。
そのひな型を論理エンジンで訓練することができます。
応用は専門書を読み、レポートを書くこと、
専攻の論文を構造を意識して100本読みあさり、実際に自分で論文を100本書きまくることです(大量行動の法則)。
「論理的である」より、「論理的でない」の方が理解しやすいので、
「論理的でない」例を挙げてみましょう。
(論理的でない例)
■論理が飛躍している
(必要な説明が抜けている)
■論理が矛盾している
(つじつまが合わない、話に一貫性がない、最初と結論が違うなど)
■論理が循環している
(同語反復、行けないので、行けません。など)
このような論理の飛躍、矛盾・循環を避ける、修正することで論理的に考え、論理的な文章を書けるようになります。