漢文受験勉強(2)入試基礎力養成期の勉強法

受験勉強は2つの時期に分かれます。入試基礎力養成期入試合格力養成期です。

このページでは、漢文の大学受験における入試基礎力養成期の勉強法について書いていきます。

具体的には、高校生が、塾に頼らず、できるだけ自力で、どういう教材を、どう勉強して、漢文の入試基礎力を身に付けていくかを書きます。

1.受験勉強の2つの時期

1.1.入試基礎力養成期の勉強

受験勉強の前半期である入試基礎力養成期(3年8月頃まで)には、(漢文が入試にある)全受験生に共通した、ベースとなる漢文力を培います。

その漢文力とは、「大学入試で必要になる、漢文の基礎~標準的な知識を理解し暗記した人の漢文力」、言い換えれば、「共通テストで7~8割以上、難関大学(偏差値60~65以上の大学)の過去問で4~5割以上を取れる漢文力」のことです。

つまり、この時期には、過去問に入る前にするべき勉強を全て行います。

 ※偏差値:このホームページで”偏差値”という場合、河合塾偏差値を指します。同じ偏差値でも業者によってレベルが違うので、標準的な河合塾偏差値で考えます。

入試基礎力養成期の教材・順序・勉強法は以下に詳しく書いています。

1.2.入試合格力養成期の勉強

入試合格力養成期には、「志望校に合格するレベルの漢文力」、言い換えれば、「共通テストで8~9割以上、難関大学~超難関大学(偏差値65~70以上)の過去問でも合格点(7割以上)を取れる漢文力」を培います。偏差値で言えば70以上を目指します。

 ※志望校偏差値が60~65以下の場合、入試基礎力養成期の勉強をしっかり行えば、それだけで多くの受験生が合格レベルに到達します。

1.3.入試合格力養成期に使う教材

入試合格力養成期に使う教材は、以下の通りです。教材、勉強法について、詳しくは【受験(3)過去問の解き方と習得法】、【受験(4)過去問弱点対策法】に書いています。

【入試合格力養成期の教材の全リストとその使用順序】

(1)過去問:3年8月以降(入試合格力養成期)のメイン教材は志望校過去問です。過去問を10年分以上解き、習得して、志望校レベルの実力を身に付けていきます。

(2)弱点補強用問題集:過去問を解いて分かった自分の弱点を補強するため、「読み方解き方本」、記述問題集などを、必要に応じて復習・習得します。

(3)志望校・共通テスト対策のための教材:スタディサプリの共通テスト対策動画等を必要に応じて見て、専門家の解き方を参考にすれば、実力向上につながります。

2.入試基礎力養成期の勉強法

2.1.入試基礎力養成期の教材・順序・勉強法

【入試基礎力養成期の教材・順序・勉強法の全て】

(1)古典文法問題集

 ①必要性:漢文は訓読すれば古文になりますから、古典文法の知識は不可欠です。よって、古典文法問題集を1冊、5~10周して習得してから、漢文に入ります。

 ②オススメ:「ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル」(河合塾)。

 ③習得法:【古典文法最短暗記法】、【「古典文法基礎ドリル」習得法】参照。

(2)漢文句法問題集

 ①必要性:漢文の基礎は句法(文法・構文・熟語)と必須知識(重要語・漢詩の規則等)で、それらは句法問題集にたいてい入っていますから、薄い漢文句法問題集を5~10周して1冊習得します。

 ②オススメは以下。

漢文ヤマのヤマ」(三羽邦美著、学研)
文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」(Z会)。

 ③習得法:【漢文ヤマのヤマ」習得法】、【「漢文句形とキーワード」習得法】参照。

 ④漢文常識:漢文特有の価値観・考え方・背景知識(漢文常識)を知ると漢文が格段に読みやすくなり、正答率が上がります。

 「漢文句形とキーワード」には、他の句法問題集にはほぼ載っていない、漢文常識が詳細にまとめられています。暗記法は【「漢文句形とキーワード」習得法】参照。

 もしくは、「理解しやすい漢文」(文英堂)などの参考書や教科書ガイドにも載っていますから、これらの解説をよく読んで漢文常識を身に付けます。

(3)「訓読+訳の暗記」用教材

 ①重要性:「訓読+訳の暗記」は、30ページ以上行えば、(入試問題のような)初見の漢文が格段に訓読でき、訳せるようになり、結果として問題も解けるので、漢文の習得は超重要です。

 ※漢文の習得:このホームページでは、既習の漢文について、「訓読+訳の暗記」をして「スラスラ訓読でき、訳せる」ようにすることを漢文を習得すると表現します。

 ②オススメ:最重要なのは学校の教材で、余裕があれば以下のような教材にもどんどん取り組んでいきましょう。

理解しやすい漢文」(文英堂)
三羽邦美の漢文教室」(故事成語30編掲載:旺文社)
「共通テスト過去問、志望校過去問

 ③習得法:【勉強法(3)漢文長文習得法】参照。

(4)「読み方・解き方本」

 ①重要性:漢文には「入試問題を解くのに必須の知識」や「効率的な読み方・解き方」があり、それを漢文の入試問題をたくさん解いている漢文の専門家(予備校講師等)が書いた「読み方・解き方本」で習得すれば、本文の意味が分かりやすくなり、問題が格段に解けるようになります。

 ②オススメは以下。

共通テスト漢文 満点のコツ」(教学社)
最短10時間で9割とれる 共通テスト漢文のスゴ技」(角川)
岡本梨奈の 1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」(角川)

 ③習得法:【共通テスト漢文 満点のコツ」習得法】、【共通テスト漢文のスゴ技」習得法】、【漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」習得法】参照。

 ④白文問題対策:共通テストや難関大入試では白文問題がよく出ますが、これは「読み方・解き方本」などで専用の対策をしておかないと解きにくいです。勉強法は【勉強法(4)白文攻略法】参照。

 「読み方・解き方本」を1冊習得したら、過去問に入ります。

(5)漢文長文問題集

 普通の受験生は漢文にそれほど多くの時間を費やせるわけではなく、また、上記の教材を習得するだけで入試レベルには到達しますので、他の漢文問題集を勉強する必要性はほとんどありません。

 ただ、入試に記述問題が出る難関国公立大学志望者が、以下のような記述問題集を解くことは大いに役立ちます。

得点奪取漢文―記述対策」(河合塾)
難関大突破 新漢文問題集」(駿台)
漢文道場」(Z会)
漢文 入試精選問題集」(河合塾)

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2.2.「訓読+訳の暗記」の詳細

【訓読+訳の暗記】

(1)漢文勉強のメイン「句法+必須知識」の暗記の後の漢文の勉強のメインは、入試まで、「訓読+訳の暗記」(漢文の習得)です

 なぜなら、「訓読できて訳せる」漢文の量が増えるほど、実力が上がり、初見の漢文でも「訓読できて訳せる」部分が増え、そうすれば、(白文問題以外の)たいていの問題は解けるようになるからです。

 ※白文問題を解けるようにするには、上に書いたように、「読み方・解き方本」で専用の対策をする必要があります。

(2)「訓読+訳の暗記」の目安は30ページ:漢文を毎週0.5~1ページなど習得し、合計30ページ以上習得すれば、入試の漢文問題のような初見の漢文でも、格段に「訓読でき、訳せる」割合が増えますから、最初の目標は30ページです。

 ただ、30ページで十分という訳ではなく、多ければ多いほど良いので、50ページ、80ページと習得していきます。そして、(特に文系の受験生は)最終的には100ページ以上の習得を目指すのが良いでしょう。

(3)「訓読+訳の暗記」は加速する:習得が30~50ページを超えたら、初見の漢文で暗記すべき内容(句法・重要語等)がどんどん減りますから、単位時間当たりの習得できる量はどんどん増えます。

 例えば、最初、週に1ページがやっとだとしても、50ページを超えたら、週に5~10ページ(同じ時間で)習得できるようになります。

 実際、創賢塾には、毎週10~15ページ習得している生徒は大勢います。

3.定期テストの勉強法

以上の受験勉強のほかに、高校生はテスト勉強もする必要があります。

1~2年生のときから以下のようにテスト勉強をしていれば、漢文の実力が上がり、受験勉強にスムーズに入れます。詳しくは【高校生の定期テスト満点戦略(7)漢文】参照。

【定期テストで高得点を取るための5項目

(1)「訓読+訳の暗記」:訓読と訳ができることは漢文の基礎なので、テスト範囲の漢文を、以下のようにして「スラスラ訓読でき、訳せる」ようにします。

【「点、丸の意味の区切りで漢文を訓読する⇒書き下し文で確認する⇒間違いなら印を付け、自力で3回連続スラスラ訓読できるまで訓読する⇒次の区切りへ⇒半ページ」×1日3周】

【点、丸の意味の区切りで漢文を訳す⇒訳で確認する⇒「書き下し文⇒訳」×5回交互に音読して訳を暗記⇒漢文を見ながら、自力で3回連続スラスラ訳せるまで訳す⇒次の区切りへ⇒半ページ×1日3周】×7日

(2)重要知識の暗記:意味が分からなかった語句や漢詩の知識、文学史など、テストに出そうな知識を全てルーズリーフに一問一答式でまとめ、以下のようにして暗記します。

【「テスト⇒覚えていなかった知識を5回音読していったん暗記×知識全体」×1日3周×7日】

(3)問題演習:テスト範囲の問題集・問題プリントがある場合は5回ほど解いて習得します。

(4)漢文の実力を上げる:句法の暗記:テストで高得点をあげるためには、テスト範囲の文章を「訓読+訳の暗記」できるだけでは不十分で、70~100ほどの句法をきちんと暗記しておく必要があります。

 暗記法は【勉強法(2)句法暗記法】参照。

(5)テストの間違いの原因を特定し対策する:テストが返却されたら、「テストの間違いの原因を探し、対策を考え、ルーズリーフにまとめる」という作業をします。

 ただやみくもに勉強するより、自分の間違いの傾向に合わせた勉強をする方が、点数は上がりやすいからです。

4.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この文章があなたのお役に立てば幸いです。

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