世界史「俯瞰的知識」の暗記法


世界史の論述で合格答案を書けるようにするには、「俯瞰的知識(タテ・ヨコの歴史・時代の特徴や事件の意義など)」を暗記することが最も重要です。なぜなら、たいていの論述問題では、俯瞰的知識を問う問題が出されるからです。このページではこの「俯瞰的知識」の習得法について書いていきます。

1.俯瞰的知識とは

1.1.俯瞰的知識とは

「俯瞰的知識」とは、「タテの歴史(流れ・因果関係)、同時代のヨコの歴史(地域間の影響関係)、時代・指導者・文化の特徴、戦争・事件・宗教の意義」などを指します。

世界史論述では、「俯瞰的知識」の暗記量が論述問題で合格点を取れるかどうかを決めます。

1.2.俯瞰的知識の暗記法

では、この「俯瞰的知識」を、どうやって身に付ければいいのでしょうか? 

それは、「過去問・論述問題集・教科書類・俯瞰的参考書」の俯瞰的知識を暗記すればよいのです。

このページではこの4つについて書いていきます。

2.過去問の模範解答と構想メモを暗記する

2.1.過去問で傾向と対策を知る

通史の暗記が一通り終わったあとにまず取り組む必要があるのは、志望校の「過去問」です。なぜなら、「自分が実際に受験するときの試験問題」に傾向が最も近い問題は過去問であり、傾向により対策法(勉強法)は異なるからです。

例えば、50字の小論述を出す大学と、500字の大論述を出す大学では、当然、対策法・勉強法が異なります。傾向に合った対策をしていきましょう。

具体的には、過去問を見て、問題形式、資料があるか、設問の意味の分かりにくさ、テーマの広さ・深さ、必要な知識、論述の長さ、問題数、受験時間などの傾向を確認していきます。そして5年分、10年分と解いていけば、対策法が分かってきます。

どういう問題が出るか分からずに、標準的な論述対策をしていくのは、得策ではありません。早くから過去問対策をしましょう。

2.2.過去問で俯瞰的知識を暗記する

過去問や論述問題集は「論述を書くのに必要な知識=俯瞰的知識」の集積です。これらを解いていけば、どういう知識を暗記していけば良いかが分かります。

しかし、論述を「書く」だけでは、俯瞰的知識は記憶できません。模範解答を「暗記」していく必要があります。

そして、模範解答と共に、「構想メモ」も暗記していきます。「構想メモ」とは、答案に入れるべきキーワードを表形式や箇条書きでまとめたメモのことです。論述を書く際には、いきなり書き始めないで、きちんとした構想メモを書くのがコツになります。構想メモの書き方はこちらに書いています。

過去問の「模範解答と構想メモ」は10~20年分暗記します。これにより、傾向が深く分かり、俯瞰的知識・志望校の問題傾向に即した構想メモと論述の書き方・記述力が身に付きます。

2.3.模範解答暗記法

過去問の模範解答と構想メモを暗記するのは簡単です。【100回音読=1日10回音読×10日】で暗記できます。

過去問の「模範解答と構想メモ」の暗記法はこちらに詳しく書いています。

2.4.過去問の解答を暗記して何になる?

過去問と同じ問題は出ないのだから、問題を解くことも、ましてや解答を暗記するのは意味がないのではないか」と考える人も多いでしょう。

しかし、この考えは間違いです。その理由は以下の通り。

(1)類似テーマは出る:全く同じ問題は出ませんが、視点を変えて、同じ時代やテーマが出ることは実は多いのです。これは過去問を10~30年分さかのぼればわかります。それを知っている難関大志望者は、20~30年分の過去問を解いています。

(2)論述構成法を習得:ほとんどの受験生は「世界史論述の書き方=論述構成法」も、その習得法も知りませんが、過去問の模範解答を何度も読み、暗記することで、志望校の形式の論述問題に即した「論述の書き方」が習得できます。

(3)効率良い志望校対策ができる:過去問の模範解答を暗記することで、志望校がどういう知識を要求しているかを、ただ解くときより、深く理解できるため、教科書類や論述問題集を暗記する際に、「志望校合格に必要な知識」に焦点を当てて暗記することができるようになり、効率良く志望校対策ができます。

3.論述問題集の模範解答と構想メモを暗記する

3.1.論述問題集の模範解答と構成メモを暗記する

論述対策をしようとする人は、まずは論述問題集を手に取ることでしょう。しかし、論述問題集の習得法を知っている人はほとんどいません。

論述問題を解くのに必要なのは、主に、俯瞰的知識と論述構成力の2つですが、論述問題集をどう進めれば、この2つを身に付けられるのか?

普通の受験生は、論述問題集の論述を書き、解答・解説を読み、自己添削をし、次の問題へ。復習はしても1回。

これでは俯瞰的知識も論述構成法も身に付くはずがありません。その結果。。。

珍妙な解答の山

「判る!解ける!書ける!世界史論述」(河合塾、10ページ)より

河合塾が実施する「東大即応オープン」「京大即応オープン」「一橋大入試オープン」などの模試で論述問題を採点する時、私たちが遭遇するのは、珍妙な解答の山である

前後関係が逆であったり、因果関係が逆であったり、異なる時代と地域の事項が一文のなかで混在していたり、細かな事項や人名が、題意とは関係なくただ羅列してあったりなどなど。

超一流大学志望者でも、これが現実です。

ではどうしたら良いのかというと、以下のようにして、模範解答と構成メモを暗記すれば、俯瞰的知識と論述構成法を同時に身に付けられます。

論述問題集の「模範解答+構想メモ」暗記法

(1)テーマと出題意図の把握:設問と資料を数回よく読み、テーマと出題意図(問題で問われていること)を把握し、下線を引いたり、丸で囲います。

(2)キーワードを列挙:答案に入れるべきキーワードを、いわゆる「5W1H」にのとって書き出します。

(3)構成メモにまとめる:キーワードを表形式や箇条書きの構成メモにまとめます。

(4)教科書類を参照して「構想メモ」を完成させる:論述を書くときに知識の問題がない受験生はほとんどいないので、教科書類を参照するのはオススメです。

(5)下書きと論述を書く:下書き、そして論述を書きます。これは構想メモを見ながら文章化していきます。ここでも教科書類を参照して構いません。

以上を、大論述(300~600字前後)で10~20分、小論述(50~200字)で5~15分で終えるようにします。論述対策初期には、論述を「書く」より、論述の模範解答を「暗記する」ことに時間を使った方が上達が速いです。

(6)解答・解説を読んで理解する:解答・解説と設問を数回読んで、「なぜその解答が合格答案なのか」「出題意図と合致しているか」「設問と解答の対応関係」を十分理解します。理解できないときは教科書類を適宜参照します。

そして、キーワード(論述に必須の情報)に印を付けます。

(7)自己添削:キーワード・構想メモ・論述が「出題意図」に合致していたかどうかや、文章構成・キーワードを検討し、添削します。

(8)「構想メモ」を完成させる:論述問題集に構成メモがあればそれに情報を書き足し、構成メモがなければ自分の構成メモを完成させます。

(9)「構想メモ」を暗記する:構想メモを暗記するのは、論述を書くのに不可欠な俯瞰的知識を暗記するためです。構想メモの暗記は以下のようにします。これで誰でも長期記憶に入れられます。

【(1日10回音読×10日)⇒構想メモを書き出して暗記を確認

(10)模範解答を暗記する:構想メモと並行して、模範解答を以下のようにして暗記します。模範解答を暗記すれば、俯瞰的知識を暗記でき、論述構成力や記述力を身に付けることができます。400字の論述なら1分で1回読めます。この場合、暗記に必要なのは1日10分です。

【1日10回音読×10日】

論述問題集は、最低1冊暗記し、その後は時間がある限り、2冊、3冊と暗記を続けます。俯瞰的知識は英単語のようなもので、多く暗記すればするほど、受験では有利です。2冊(300~400解答)暗記できれば、よく問われる俯瞰的知識はほぼ網羅できます。

時間がなければ、2冊目以降は「構想メモ」だけでも構いません。俯瞰的知識が書かれた構想メモさえ暗記できれば、記述力があれば、論述は書けるからです。

論述問題集の暗記法は詳しくはこちらをご参照下さい。

3.2.オススメ論述問題集

論述問題集は、過去問に似た傾向の問題が多く収録された問題集を選びましょう。オススメは以下です。

判る!解ける!書ける!世界史論述 」(約190問、河合塾)

この問題集は非常に良くできていて、ほとんどの例題が見開き2ページで完結し、「問題・出題意図・構成メモ・解説・模範解答」が見やすくまとまっています。この問題集の構成メモと模範解答を何度も読み、全部暗記すれば、構成メモと論述の書き方は大きく上達するでしょう。過去問の後の1冊目か2冊目としてオススメです。

世界史論述練習帳new」(約320問、中谷臣著、パレード)

この問題集も非常に良くできていて、多くの問題が見開き2ページで完結し、「問題・構成メモ・解説・模範解答」が割と見やすくまとまっています。過去問の後の1冊目か2冊目としてオススメです。

この問題集の特長は、分かりやすい表形式の構成メモが多く掲載され、構成メモの書き方を習得するには最適であること、生徒のミスを集積した解答例を掲載して学習者に添削させることで「自己添削力」の練習ができること、「過程・経過・関連・影響・意義・特色を述べよ」「比較せよ」など、問題形式別に書き方の指南があること、巻末に約280問のミニ論述(60~120字)の問題と解答を載せ、俯瞰的知識をかなり網羅的に暗記できることなどです。

世界史B論述問題が面白いほど解ける本」(約280問、中経出版)

この問題集は「構成メモ」がない代わり、全問に詳しい解説が付いています。上記2冊は、練習問題には解説がありません。解説がないと、自力で教科書類などを調べる時間が多く必要なので、これは大きな利点です。3~4冊目に適しています。

詳説世界史論述問題集」(約210問、山川出版社)

この問題集には「問題・解説・解答」しかなく、「構成メモ」がありません。よって、用途としては、3~4冊目に俯瞰的知識を暗記する用途として適しています。

その他には以下があります。志望校の傾向と問題集の内容を検討し、適切なものを選びましょう。

世界史論述問題集―45か条の論題」(駿台)
段階式 世界史論述のトレーニング」(Z会)

「論述問題780題を頭に叩き込んだ」

ブログ「一橋大学合格体験記:世界史論述勉強法」より

論述で問われる観点は大体決まっています。私は河合塾の論述用テキストを用いて、そこに載っている小論述240題ぐらいと、講師がプリントでくれる追加小論述240題ぐらい、大論述(400~600)を300題ぐらい頭に叩き込みました。すべていろんな大学の過去問です。

ここまですれば何を書けばいいか、が分かってきます聞き方が違っても、答えるところは一緒であることが多いです

よく考えれば、当たり前なんですが、教科書から逸脱した範囲は、論述ではほぼ出ません。一橋の大論述は、400字なのですが、私は小論述を組み合わせて解答を作り上げるようにしていました。

何度も言いますが大事なのは暗記です。暗記した知識をどういう風に使って点を稼ぐか、という点のみに頭を使います。知識を絞り出せなければ、手も足もでません。ですから、できるだけ数多くの小論述、問題に当たり、自分にストックしていきましょう。 

4.教科書類で「俯瞰的知識」を暗記する

4.1.教科書類の俯瞰的知識に注目して読み続ける

教科書類は、「通史」を音読で9割以上暗記したあと、「俯瞰的知識」に注意しながら、さらに読み続けます。

例えば、「シオニズムはなぜ起こり、20世紀の指導者は誰で、どういう経緯でイスラエルが誕生したか(タテの歴史)、またそれにイギリスはどのように関わったか(ヨコの歴史)」「十字軍運動を2つの時期に分けたとき、前半と後半のそれぞれの特徴は?」「アヘン戦争の歴史的意義は何か」などの記述に注意してマーカーを引き、何度も音読して暗記します。

教科書類、特に教科書はセンター試験・論述問題の出典なので、入試までずっと、30周、50周と読み続けます。

4.2.記憶を強化する想起トレーニング

教科書類を読むたびに、重要な事項に関して、見出しを見て俯瞰的知識を言ってみます(想起=アウトプット)。想起は、自分がどの程度理解し暗記しているかを確認できると共に、記憶を強固にしてくれる重要な記憶法です。

4.3.教科書類の俯瞰的知識を「世界史論述まとめ帳」にまとめる

教科書類には入試で出る俯瞰的知識がほぼ全て載っていますから、過去問や論述問題集に載っていない俯瞰的知識(出来事の原因と結果・意義・特徴など)をまとめていけば、俯瞰的知識を網羅でき、論述対策は完成に近づいていきます。また、一問一答式にまとめると、覚えやすく、覚えたかどうかを確認できるので、強力な記憶ツールになります。

「世界史論述まとめ帳」のまとめ方は、一問一答式に、ルーズリーフに縦線を引き、左に問題、右に答えを書いていきます。以下のような感じです。

【30年戦争の原因、参戦国、経過、結果は?|①原因~~、②参戦国~~、③経過~~、④結果~~】

4.4.まとめる理由

(1)網羅:教科書類のまとめをすべきなのは、過去問や論述問題集では俯瞰的知識を網羅できず、教科書類は俯瞰的知識を網羅しているためです。

(2)初見:まとめることで、自分の受験するときの”初見の”論述問題で、どういう問題が出ようが、対処できるようになります。

(3)歴史感覚:自分の頭と手を使ってまとめることで、「歴史感覚(俯瞰的知識の理解と記憶)」がどんどん身に付いていきます。これは、他人の書いた教科書や論述の解答を理解しにくい、覚えにくい人には、特にオススメです。時間はかかりますが、理解と記憶が格段に進みます。

(4)記述力:「まとめる」作業は「要約」なので、読解力、記述力も格段に進歩します。

(5)情報の集約:教科書類に限らず、論述問題集や過去問の解説、参考書で、論述に使えそうな俯瞰的知識、「これ覚えておかなきゃ」と思った知識は「まとめ帳」にまとめます。1箇所にまとめることで、記憶事項の漏れがなくなります。

5.俯瞰的知識がまとめられた参考書を暗記する

必要に応じて以下のような参考書の俯瞰的知識の部分を10~20周音読して暗記します。

特に、過去問にヨコの歴史が多く出ている場合、「ヨコから見る世界史」(学研)を暗記するのがオススメです。ヨコから見る世界史の暗記法はこちらに書いています。

教科書・一問一答問題集・講義系参考書・論述問題集など、習得すると決めた教材は、中途半端に数回読んだり解いたりするだけでなく、「10周以上音読して完全に暗記する」「10周以上解いて全問スラスラ解けるようにする」ことを目指します。あやふやな知識が増えても受験には役立ちません。確実に暗記していきましょう。

ヨコから見る世界史」「タテから見る世界史」(学研)
タテ×ヨコから見る世界史問題集」(学研)
タテヨコ総整理 世界史×文化史 集中講義12」(旺文社)
流れがわかる各国別・地域別世界史Bの整理」(山川出版社)


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