受験(6)難関大対策法

このページでは、難関大(難関国公立大・私立大)の漢文対策法について書いていきます。

具体的には、予備校や塾に頼らず、できるだけ自力で、どういう教材を、どう勉強して、難関大の漢文で合格点(7割以上)を取れるようにするかを詳述します。

1.使用教材・順序・勉強法

1.1.教材・順序・勉強法

難関大入試で7割以上取るために必要な教材・順序・勉強法の前半は、【受験(2)入試基礎力養成期の勉強法】に書いた勉強法と基本的に全て同じです。後半に志望校過去問等を加えるだけです。

【難関大入試で7割以上取るために必要な教材・順序・勉強法の全て】

(1)古典文法問題集

 ①必要性:漢文は訓読すれば古文になりますから、古典文法の知識は不可欠です。よって、古典文法問題集を1冊、5~10周して習得してから、漢文に入ります。

 ②教材:以下のような薄い古典文法問題集を5~10周します。オススメは、最小限の暗記すべき内容がコンパクトにまとまっている「ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル」です。

ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル」(河合塾)
基礎からのジャンプアップノート 古典文法・演習ドリル」(旺文社)
古文ヤマのヤマ 頻出文法事項44」(三羽邦美著、学研)
吉野式古典文法スーパー暗記帖」(学研)

 ③習得法:【古典文法最短暗記法】、【「古典文法基礎ドリル」習得法】参照。

(2)漢文句法問題集

 ①必要性:漢文の基礎は句法(文法・構文・熟語)と必須知識(重要語・漢詩の規則等)で、それらは句法問題集にたいてい入っていますから、句法問題集を5~10周して1冊習得します。

 ②オススメは以下。

文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」(Z会)
漢文ヤマのヤマ」(三羽邦美著、学研)

 難関大志望者には「漢文句形とキーワード」がオススメです。句法・漢文法・重要単語・漢文常識等の知識量が、他の句法問題集よりかなり多いからです。

 ③習得法:【「漢文句形とキーワード」習得法】、【漢文ヤマのヤマ」習得法】参照。

 ④漢文常識:漢文特有の価値観・考え方・背景知識(漢文常識)を知ると漢文が格段に読みやすくなり、正答率が上がります。

 「漢文句形とキーワード」には、他の句法問題集にはほぼ載っていない、漢文常識が詳細にまとめられています。暗記法は【「漢文句形とキーワード」習得法】参照。

 もしくは、「理解しやすい漢文」(文英堂)などの参考書や教科書ガイドにも載っていますから、これらの解説をよく読んで漢文常識を身に付けます。

(3)「訓読+訳の暗記」用教材

 ①重要性:漢文の習得は、20~30ページ以上行えば、(入試問題のような)初見の漢文が格段に訓読でき、訳せるようになり、結果として問題も解けるので、超重要です。

 ※漢文の習得:このホームページでは、既習の漢文について、「訓読+訳の暗記」をして「スラスラ訓読でき、訳せる」ようにすることを漢文を習得すると表現します。習得法は【勉強法(3)漢文長文習得法】参照。

 ②オススメ:最重要なのは学校の教材で、余裕があれば以下のような教材にもどんどん取り組んでいきましょう。

文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」(数行の短めの漢文が80編以上掲載、Z会)
理解しやすい漢文」(文英堂)
三羽邦美の漢文教室」(故事成語の漢文30編掲載、旺文社)
「共通テスト・センター試験過去問、志望校過去問

 ③習得法:【勉強法(3)漢文長文習得法】参照。

(4)「読み方・解き方本」

 ①重要性:漢文には「入試問題を解くのに必須の知識」や「効率的な読み方・解き方」があり、それを、漢文の入試問題をたくさん解いている漢文の専門家(予備校講師等)が書いた「読み方・解き方本」で習得すれば、本文の意味が分かりやすくなり、問題が格段に解けるようになります。

 ②オススメは以下。

共通テスト漢文 満点のコツ」(教学社)
最短10時間で9割とれる 共通テスト漢文のスゴ技」(角川)
岡本梨奈の1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」(角川)

 ③習得法:【「共通テスト漢文 満点のコツ」習得法】、【「最短10時間で9割とれる 共通テスト漢文のスゴ技」習得法】、【「岡本梨奈の 1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」習得法】参照。

 ④白文問題対策:難関大入試や共通テストには白文問題がよく出ますが、これは「読み方・解き方本」などで専用の対策をしておかないと解きにくいです。

 「共通テスト漢文のスゴ技」「岡本梨奈の1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」は白文対策が詳しいのでオススメ。勉強法は【勉強法(4)白文攻略法】参照。

 「訓読+訳の暗記」を30ページ以上行い、「読み方・解き方本」を1冊習得した3年生は過去問に入ります。

(5)漢文長文問題集

 難関大志望生で、過去問を解く前に、上記以外の漢文問題集が必要なのは以下の人です。

 ①記述問題集:記述問題がある大学の志望生。

得点奪取漢文―記述対策」(河合塾)
記述対策 漢文問題集」(東進)

 ②標準~難関大レベル問題集:過去問を解いたが、文章自体が難しくて、もう少し標準~難関大レベルの問題を解きたい受験生。もしくは、高2までに上記教材を習得し、時間的余裕がある難関私立大志望生。

共通テスト・センター試験過去問
「難関大突破 新漢文問題集」
(駿台)
「漢文道場」(Z会)
「漢文 入試精選問題集」(河合塾)

(6)過去問

 ①メイン教材:3年8月以降のメイン教材は過去問です。受験生は、志望校過去問を5~10年分以上解き、習得して、過去問で7割以上を確実にします。

 ②難関国公立大志望生:夏休みに、共通テストと2次試験の過去問を2~3年分解くのが望ましいです。12~2月に過去問を初めて解き、記述問題や白文問題などが苦手だと分かっても、対策する時間が少なく、手遅れになりかねません。

 9月以降、「共通テスト過去問1:二次試験過去問2」くらいの比率で解き、習得していきます。難関大志望生は共通テスト過去問はできて当たり前なので、二次の過去問を重点的に解きます。共通テスト過去問で8割未満の人は「1:1」くらいの比率で解きます。

 平行して、記述問題が苦手なら上記の記述問題集を1冊習得し、白文問題が苦手なら【勉強法(4)白文攻略法】に書いてある対策をしていきます。

 ③難関私立大志望生:夏休みに、メインの志望校3校程度の過去問2~3年分と、共通テストを受けるなら共通テストの過去問も2~3年分解きます。9月以降、解いて分かった自分の弱点を補う勉強をしながら、過去問を3年、5年、10年と解き、習得していきます。

 もし過去問が難しくて歯が立たない場合、10月くらいまでは、共通テスト・センター試験過去問や「漢文道場」(Z会)のような標準レベルの問題集を解き、習得してから、再度トライします。

 ④解き方・習得法:下記。共通テストの解き方・習得法は【受験(5)共通テスト漢文対策法】参照。

(7)弱点補強用問題集:過去問を解いて分かった自分の弱点を補強するため、句法問題集、「読み方解き方本」などを、必要に応じて復習・習得します。

 これについては【受験(4)過去問弱点対策法】に書いています。

(8)東大・京大対策の教材:東大・京大のような超難関国立大学には、大学専用の問題集が発売されています。中には有用なものもありますので、内容を精査し、取り組んでみてください。

鉄緑会 東大古典問題集」(角川)
大学別入試攻略問題集 東京大学 国語」「同 京都大学」(河合塾)
難関校過去問シリーズ 東大の古典」「同 京大」(教学社)
実戦模試演習 東京大学への国語」「同 京都大学」「東大入試詳解25年 古典」「京大」(駿台)

1.2.過去問が重要な理由

過去問が重要なのは、過去問が「自分が受験するときの問題に傾向が最も似ている問題集」だからです。

 ※過去問の傾向とは:漢文や設問の難易度、白文問題や記述問題が出るかどうか等。

市販の問題集は、過去問と傾向が似ているとは全然限らないので、過去問を解く実力のある受験生が、市販の普通の問題集を、過去問より優先的に解く理由はありません。

2.過去問の解き方と習得法

2.1.国語1年分全体を解くか、大問ごとに解いても良いのか。

過去問は、国語1年分を全体で解いた方がもちろん良いですが、時間もかかりますし、それぞれの科目(現代文・古文・漢文)の進み具合も違うので、必ずしも全体を一気に解く必要はありません。

ただ、時間管理を学ぶため、10月以降、1ヶ月に1回くらいは国語1年分を全問、時間通り解くのがオススメです。

 ※時間管理:最後まで到達し、解ける問題を全部解き、全体の点数を最大化するため、どういう順番で解くか、各大問に何分かけるか、解けない小問を最大何分くらい考えるか、などを検討し、決めていくこと。

2.2.勉強法

【過去問の解き方と習得法】

(1)過去問を解く

 ①制限時間で解く⇒延長して解く:国語の中で漢文に割り当てられる時間をだいたい計算し、解きます。入試までに、各大学・学部の入試について、漢文何分、古文何分、現代文何分と、だいたいの時間を決めておきます。順序は、大問1から解けば良いと思います。

 制限時間内に終わらなかったら、10~20分など延長して解きます。解かないのはもったいないからです。

 そして、両方、分けて点数化できるように印を付けておきます。時間内の点数が「本番であれば何点取れるか」で、延長の点数は「今の実力でどこまで解けるか」を示します。

 ②読み方:リード文(最初の人物・背景説明)や注もしっかり読み、登場人物を丸で囲み、主語や目的語の省略を補って読みます。

 読んでいて傍線部問題や穴埋め問題があれば、その都度解いていきます。

 ③解き方:傍線部問題では、傍線部について、欠けている要素(主語・目的語等)を補い、指示語があれば指示内容を明らかにし、できるだけ正確に傍線部を訳し、また、前後の文(文脈)にも注意を払い、解きます。

 選択肢問題の場合、傍線部やその前後の意味がよく分からなくても、選択肢(≒正解肢は一種の訳)をヒントに本文と照らし合わせて解きます。

 このあたりの読み方・解き方は「共通テスト漢文 満点のコツ」、「共通テスト漢文のスゴ技」、「岡本梨奈の 1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」などの「読み方・解き方本」に詳しく書かれています。できるだけ1冊は習得し、過去問を解くときにそのテクニックを用い、習熟していきます。

 ④理解できない箇所に印:読んでいて意味が分からない単語・箇所・文や、主語が分からない述語に印を付けておきます(復習のため)。

(2)自己採点する

 ①自己採点:解き終わったら解答解説・訳を読み、自己採点します。

 ②問題を間違えた原因・理由を理解する:間違えた問題に印を付け、なぜその解答になるのか、自分の答えではなぜダメなのかをしっかり理解します。

 知識(句法・単語・漢文常識等)が原因なら、ルーズリーフにまとめ、暗記し、内容の理解不足が原因なら、何が原因で内容を理解できなかったのかを明確にします。

 後日、同じ問題を解いても、正しい根拠で正解が導けるように、きちんと理解し暗記します。

(3)過去問まとめ帳を書く

 ①過去問まとめ帳:過去問を自己採点したらすぐに、「過去問まとめ帳」に、「点数・感想(簡単だった等)・過去問の傾向自分の間違いの傾向・今後の対策」等を書きます。「過去問まとめ帳」は過去問の全科目でルーズリーフにまとめます。

【早稲田大学文学部20年、漢文 傾向|「邵氏見聞録」、全て選択肢問題、4問中2問不正解(原因:白文問題で句法1,内容理解1)、4問中白文問題が3つある、文章・問題とも標準的。分からない単語10個】

【 〃 〃 対策|白文問題⇒「読み方・解き方本」を復習する、過去問の白文問題を10年分解き習得する、語彙力不足⇒句法問題集で用語暗記の復習】

 ②過去問の傾向とは:作品名・時代、漢詩の有無、難易度、語彙問題・内容理解問題等の問題の種類等。

 ③自分の間違いの傾向:点数、どういう問題で間違えたか、意味が分からなくなった原因or間違えた原因(漢詩・単語・句法・訓読・白文問題・漢文常識)等。

(4)過去問を習得する

 ①習得する:過去問は解きっぱなしではなく、習得します。習得すれば実力が上がるからであり、逆に、習得しなければ実力も得点力もほとんど上がらないからです。

 過去問の習得とは以下の4つを指します。

 ②習得1:「訓読+訳の暗記」:習得法は【勉強法(3)漢文長文習得法】参照。

 ③習得2:暗記:問題に関わる、知らなかった知識(単語・漢文常識など)を全部ルーズリーフにまとめ、暗記します。

 ④習得3:長期記憶に入れる:上記2つの習得後、その復習を2ヶ月以上続け、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れていきます。詳しくは【勉強法(3)漢文長文習得法】参照。

 ⑤習得4:3回以上解く:同じ問題を何度も解くことで、志望校過去問の漢文の読み方、解き方に慣れていきます。

 2回目以降に解くときは、どこで・なぜ文の意味が分からなくなるか-主語か句法か内容かなど-をチェックしながら読みます。

 問題が解けない・間違えた場合は、解いた後で、何が原因で問題が解けないかを考え、原因に当たる本文に印を付け、それを解決する勉強(白文問題対策・単語の暗記等)をします。

2.3.漢文習得の重要性

「句法+必須知識」暗記後の漢文の勉強のメインは、入試まで、「訓読+訳の暗記」(漢文の習得)です

なぜなら、「訓読できて訳せる」漢文の量が増えるほど、実力が上がり、初見の漢文でも「訓読できて訳せる」部分が増え、そうすれば、(白文問題以外の)たいていの問題は解けるようになるからです。

 ※白文問題を解けるようにするには、「読み方・解き方本」で専用の対策をする必要があります。勉強法は【勉強法(4)白文攻略法】参照。

よって、普段から、教科書の漢文・漢文問題集・「読み方・解き方本」等で、「訓読+訳の暗記」を毎週合計0.5~1ページ以上進め、その復習も毎週行っていきます。

過去問を解き始めてからは、過去問を中心に漢文の習得をします。過去問を習得すれば、過去問レベルの漢文を「訓読でき、訳せる」能力を培えます。

3.過去問について

3.1.過去問を解き始める時期

以下の受験生は、過去問を中心に解いていきます。

(1)漢文偏差値が65以上の高校3年生。

 ※偏差値:このホームページで”偏差値”という場合、河合塾偏差値を指します。同じ偏差値でも業者によってレベルが違うので、標準的な河合塾偏差値で考えます。

(2)漢文偏差値が志望校偏差値を超えた3年生。

(3)3年夏休みから:上記2つに該当しなくても、夏休みになった3年生は過去問を解き始めます。

3.2.過去問を早々に解いた方が良い理由

過去問は、普通の受験生は10~12月頃から解き始めますが、創賢塾では高3の夏休み頃から解くように指導しています。その理由は以下。

(1)対策時間:過去問の傾向や自分の間違いの傾向によって、その後の勉強内容や教材を変えたり追加したりする必要があり、対策にはそれなりに時間がかかるからです。

 例えば、自分の間違いが、句法に問題があるのか、単語か、白文問題かによって、勉強内容を変える必要があります。

(2)習得時間:過去問は、5~10年分以上解き、習得(訓読+訳を暗記)すれば、過去問レベルの実力を身に付けられますが、例えば、週1年分解き、習得するとしたら、数ヶ月かかります。

 よって早めに過去問を解き始めた方が良いのです。

3.3.過去問に関する誤解

「過去問の問題文(漢文)は二度とその入試に出ないのだから、過去問を解き、習得するのは無駄だ」と考える受験生がいます。

しかし、それは間違いです。

なぜなら、同じ問題文が出る確率は、過去問(ほぼ0%)と他の問題集(ほぼ0%)でほとんど差は無いからです。また、過去問を解けば、入試問題の傾向に慣れることができ、習得することで入試レベルの実力を培うことができるからです。

ですから、問題文や問いの傾向が「自分が受験するときの入試問題」に最も似ている志望校過去問を重視するのは当然です。

4.最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

合格したかったら、過去問をガンガン解き、習得しましょう。

あなたの健闘を祈ります。

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