日本史の共通テスト対策(2)過去問習得法

このページでは、共通テスト日本史過去問の解き方と習得法を書いていきます。

過去問を10~20年分以上解き、しっかり習得すれば、共通テスト本試験や模試で8割以上取れるようになるはずです。

1.過去問

1.1.過去問を解く前提

過去問に入る前に、通史暗記をしておく必要があります。

共通テスト受験生用の通史暗記については、【共通テスト対策(1)通史暗記】参照。

1.2.過去問の重要性

入試によって傾向は異なりますから、共通テスト受験者は、通史暗記後、一般的な問題集ではなく、共通テスト過去問を大量に解き、習得していく必要があります。

 ※傾向とは:難易度・出やすい分野・記述問題があるかどうか・並び換え問題や穴埋め問題などの出やすい問題形式等。

共通テストの過去問を解くことで、共通テストの形式に慣れ、自分に何が足りないかが分かり、得点を上げるための対策を立てられます。

1.3.過去問を解くべき時期

(1)時期:通史暗記後に、本格的に過去問を解き、習得していきます。

(2)3年夏休み:通史暗記が終わっていなくても、共通テストを受験する人は、共通テストの過去問を夏休みに3年分ほど解くのがオススメです。

 実際に自分で解いて、共通テストの傾向、どういう勉強が必要か、自分の弱点はどこか等を把握し、対策を考えることが重要です。

2.習得の目標

2.1.何年分解くか

何年分解くべきかは、受験生の属性によります。

(1)国公立理系志望生・共通テストを受ける私立文系志望生:5年分以上、できれば10年分以上。

(2)国公立文系志望生:10年分以上。

2.2.どこから解くか

最新の過去問から解くか、古いものから解くべきか。

結論から言えば、最新の過去問から解くのがオススメです。自分が受ける共通テストの傾向に一番近い可能性が高いからです(傾向は少しずつ変わる可能性があります)。

2.3.過去問は「習得する」

過去問はただ解くだけでなく、習得します。習得するとは以下を指します。

(1)2~3回解く:間違えた問題を2~3回解いて、共通テストの解き方に慣れ、傾向を把握します。

(2)暗記する:問題の答え、正解肢の中の人名・歴史用語の時代・業績・中身を即答でき、他の選択肢のどこがなぜ間違いかを言える、史料はスラスラ訳せるようにします。

 即答できるようになれば、かなり深い記憶(中期記憶)に入り、数週間~数ヶ月忘れません。

(3)長期記憶に入れる:いったん暗記しても受験日までに忘れたら何にもなりませんから、習得した内容を絶えず復習して長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れます。

2.4.解説は覚えない

過去問の解説で覚えるべきなのは、正答するのに必要な知識だけです。

解説は、1回読んで理解はしますが、全て覚えようとはしません。解説まで覚えようとしたらきりがないからです。

2.5.記憶の原理

記憶には3種類あり、まず全ての情報は短期記憶(数時間~数週間もつ記憶)に入り、7日(7回)前後復習することで中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入り、更に2ヶ月以上復習することで長期記憶に入ります。

長期記憶に入れば入試で使える情報になりますから、受験勉強では、全ての重要情報を長期記憶に入れることが目標になります。

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3.解き方と習得法

3.1.過去問の習得法

【過去問の解き方と習得法】

(1)1年度目:解く

 ①時間通り解く⇒延長して解く:まず時間通り解きます。時間が足りなければ延長して解き、両者は区別して点数を付けられるようにしておきます(延長して解いた問題に印を付けるなど)。

 延長して解くのは、時間があれば解けたかどうかを知るためです。解かないと過去問がもったいないです。

 ②解答・解説を理解する:解答・解説を読み、理解し、覚えるべき知識にマーカーを引きます。理解は重要なので、理解できなければ教科書・用語集等を参照します。

 ③過去問まとめ帳を書く:過去問を解いたらすぐに、問題の傾向、自分の間違いの傾向、対策をルーズリーフに書きます。書き方の詳細は後述。

(2)1年度目:復習

 ①赤ペンで問題部分に暗記すべき事項を書き込む:詳細は後述。

 ②暗記の目標:初回解けなかった問題、曖昧だった問題全てを、しっかり理解した上で即答できるように暗記します。

 即答できるようにしたら、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入り、なかなか忘れません。

 ③2周目から解き直しながら暗記:問題や設問部分を赤シートで隠して読み、赤字部分(正解とその根拠)を言います。分からなければ数秒ですぐ答えを見ます。覚えていなければ暗記すれば良いだけなので。

 そして正解や根拠となる赤字の知識を5~10回音読して暗記し、また隠して、きちんと言えたら次へ。

 ④大問1問を3周する:大問1問分を1周暗記したら、そこを3~4周して、いったん全て即答できる状態にします。

 ⑤1週間で1年分を10~20周:各大問を3~4周しながら先へ進め、1年分を1周終わらせたらすぐに全体2周目に入り、1週間で全体を10~20周します。

 そして、全問を即答できるようになったら次の年度を解きます。

 ⑥覚えたら外す:5~10周暗記して、3回連続して正解の問題は、次周回から飛ばします。

(2)次の年度へ

 ①週1年度分解き、習得する:次年度以降も同様に解いて習得していきます。習得法は同じです。

 入試までの期間によりますが、週1年分くらいのペースで進め、最終的に10年分以上解きたいところです。

 ②復習しながら先へ進める:いったん完全に暗記したと思っても、人間は復習しないと必ず忘れるので、「15分×週2回×全既習年度」のように復習して、即答状態を維持します。

 ③復習期間の目安は2カ月:2か月ほど復習を続けると長期記憶(数ヶ月~数年以上持つ記憶)に入ります。

(3)弱点補強

 3~5年分解き、過去問まとめ帳を書くと、どの分野が弱いかが分かるので、その部分を補強します。

 例えば、現代史や文化史で点をよく落としているなら、自分の暗記教材(教科書・講義系参考書・一問一答問題集等)を復習します。

3.2.赤ペンでの書き込み方

間違えた問題番号には、(赤シートで隠しても見えるように)黒ペンで正の字などの印を付けます。

問題文・設問部分に、「解答」と「解くのに必要な解説の一部の知識(正解の根拠となる知識)」を赤やピンクで書き込みます。

これは、復習時に、解答・解説を見ずに「解答+解くのに必要な知識」を赤シートで隠して素速く暗記できるようにするためです。消せるボールペンだと修正しやすいので便利です。

【赤ペンで書き込む内容の例:正解の選択肢番号を赤丸で囲む、誤選択肢の間違い部分を==(二重傍線)で消し、上に正解(訂正文)を書き込む、穴埋め問題の解答を穴埋め部分に書き込む、資料問題の写真に建物名・人物名等を記入する、地図問題で問題を解くのに必要で暗記すべき地名・事件名・年号等を記入する、史料で意味が分からない部分の現代語訳を書き入れる。】

あとで必要事項はいくらでも追加修正できるので、最初はサッサと書き込んでいきます。復習を重ねるにつれ、年号や関連した人物など、暗記するべき関連情報を書き込んでいくと、より理解が深まり、関連情報も一緒に暗記できます。

書き込む問題は、答えも根拠も何も問題がなかった問題以外の、全ての問題です。例えば、正解でも、迷った選択肢、スパッと外せなかった選択肢がある問題等には書き込み、暗記します。

3.3.「過去問まとめ帳」の書き方

過去問まとめ帳は、主に間違えた問題について、以下のように書きます。

(1)原因と対策:どういう形式の問題(資料問題・写真問題・並び換え問題等)、どの時代の問題、どの分野の問題(文化史・経済史等)が弱いかをまとめ、間違いの原因と対策を書きます。

(2)知識:間違えた問題を解くのに必要な知識が自分の暗記教材に載っているかを確認します。載っていれば印を付け、暗記し直します。

 多くが載っていなければ、別の暗記教材を暗記し直します。

(3)典拠:間違えた問題の史料・写真・地図・絵等が自分の暗記教材・教科書・資料集等のどれに載っているかを確認します。

 確認して、例えば、基本的に教科書にほとんど載っているなら、教科書のそれらをよく見ておけば良いことが分かります。

4.過去問と共に使うべき教材

【通史暗記の補助教材】

(1)用語集:意味の知らない用語や初めて見た人物名等は覚えにくいので、用語集で調べ、用語集にマーカーを引き、理解します。そして必要に応じて、要約を自分の暗記教材にメモしておきます。

日本史用語集」(山川出版社)
日本史用語集〈究〉」(河合塾)
日本史用語集」(旺文社)
必携日本史用語」(実教出版)

 一番使われている「日本史用語集」(山川出版社)がオススメです。

(2)参考書:自分の暗記教材の文章を読んで流れや内容が理解できない箇所があるとき、以下のような参考書で調べ、理解します。そして必要に応じて、要約を自分の暗記教材にメモしておきます。

詳説日本史研究」(約560ページ、山川出版社)
石川晶康 日本史B講義の実況中継」(4冊1500ページ超、語学春秋社)
金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」(4冊1000ページ弱、ナガセ)
これならわかる!ナビゲーター日本史B」(4冊1000ページ弱、山川出版社)
共通テスト 日本史Bの点数が面白いほどとれる本」(650ページ超、中経出版)

 詳しく分かりやすい「石川晶康 日本史B講義の実況中継」か、最も詳しい「詳説日本史研究」がオススメです。

(3)史料集:教科書や参考書掲載の史料を読んで意味が分からないとき、日本史史料の解説や現代語訳が載っている以下のような史料集で、理解を深めます。

詳説日本史史料集」(山川出版社)
眠れぬ夜の土屋の日本史―史料と解説」(土屋文明著)
新詳述日本史史料集」(実教出版)
石川晶康 日本史B講義の実況中継」(史料の現代語訳掲載、語学春秋社)
日本史史料一問一答【完全版】」(東進)

 詳しい「詳説日本史史料集」(山川出版社)がオススメです。

(4)資料集:自分の暗記教材に載っている用語・内容を、資料集の写真・史料・年表で確認することで、視覚的に理解・暗記しやすくなります。学校で配られたものがあればそれで良いです。なければ安心の山川の資料集がオススメです。

山川 詳説日本史図録」(山川出版社)
図説 日本史通覧」(帝国書院)

5.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この文章があなたのお役に立てれば幸いです。

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