長期記憶に入れる(1)記憶の原理


全ての勉強の目的は、「勉強した内容を長期記憶に入れて受験時に使えるようにすること」のはずです。しかし、「長期記憶」に入れることを考えていない中高生がいかに多いことか。このページでは勉強した内容全てを長期記憶に入れる方法について書いていきます。

【記憶の原理】

1.勉強の2側面:理解と記憶

勉強には2つの側面があります。一つは理解、一つは記憶です。数学や英語では理解が大事ですが、理解も記憶なので、理解した内容を忘れてしまい、時間がたつと理解できなくなります。そして、理解と記憶を維持するには、両方とも長期記憶に入れる必要があります。

2.長期記憶と短期記憶

記憶には、数時間~数週間という短期間で忘れてしまう短期記憶と、数ヶ月以上記憶が持続する長期記憶の2種類があります。記憶は、最初は全て短期記憶に貯蔵され、その中で重要だと脳が判断した記憶が長期記憶に移され、長期間忘れない記憶になります。
勉強では、理解し記憶した内容をいかに長期記憶に入れるかが、最重要課題になります

理解は学校でも塾でもどこでも教えてくれます。しかし、全教科の勉強した内容を全て長期記憶に入れる勉強法を教えてくれる人はほとんどいません。

よって、ここでは、記憶の問題、短期記憶に入れた情報を長期記憶にいかに移行させるかについて述べていきます。

3.短期記憶に入れるだけでは実力は付かない

普通の勉強法は、勉強内容を短期記憶に入れるための勉強法です。

数学の問題を解いて理解し、解けなかった問題を解けるようにする、英単語をいったん記憶する、英語の教科書を数回読む。

これらはいったん短期記憶に入り、そのまま復習しなければ忘れていき、理解もできなくなります。

短期記憶に入れれば、確かに定期テストは乗り切れますし、いったんは理解し、覚えるので、出来た気にもなります。しかし、これは砂上の楼閣です。全ての記憶は、復習しなければ数週間~数ヶ月で忘れますから、勉強しては忘れ、勉強しては忘れを繰り返し、実力はなかなか上がっていきません。

経験はありませんか?
では対策はしているでしょうか?
そもそも、あなたは対策方法を知っているでしょうか?

その対策方法とは、これから述べる「短期記憶から長期記憶に移行させる方法」です。

4.長期記憶に入れるには復習するしかない

先に書いたように、全ての記憶はいったん短期記憶に入り、その中で脳が重要と判断した情報のみが長期記憶に移行されます。

脳(具体的には記憶を司る海馬という脳器官)が重要と判断する基準には3つあります。

<参考文献>
「最新脳科学が教える高校生の勉強法」(池谷裕二著、ナガセ)
「脳を一番効率よく使う勉強法」(福井一成著、中経出版)

4.1.長期記憶に移す条件1:感情

一つは感情が揺さぶられるような体験、特に印象に残る出来事であることです。

例えば、交通死亡事故を目の前で見たなどのショッキングな出来事や、大学受験で第一志望の大学に受かった日の歓喜の記憶、あるいは受験した全ての大学に落ちたときのような絶望的な出来事、自分の子供が生まれたときの至福の記憶などがそれに当たります。大きなショック、喜び、悲しみなどの感情が喚起される出来事は、1回だけでも深く記憶に刻まれます。

4.2.長期記憶に移す条件2:回数

2つめは、回数です。

何度も何度も入ってくる記憶は重要と判断され、長期記憶に移されます。回数的にはだいたい3~7回以上です(個人の記憶力・科目・得意か不得意かなどに左右されます)。

例えば、住所、携帯番号などを何度も言ったり書いたりしていると、意識していなくてもそのうち覚えます。それは何度も接することで長期記憶に移行したからです。

4.3.長期記憶に移す条件3:睡眠

3つ目は「睡眠」です。

睡眠をはさんで3~7回以上繰り返さないと長期記憶には入りません。これは、睡眠の間に脳が記憶を短期記憶と長期記憶に振り分けているためです。

例えば、30分かけて100英単語を覚え、それを1日に7回繰り返せば(合計3.5時間)、短期記憶にしっかり入って数日は覚えていられるでしょうが、1週間もたつとどんどん忘れていきます。これは一夜漬け記憶の典型です。

それに対して、30分かけて100英単語を覚え、その後、毎日30分を7日続けると(合計3.5時間)、ほとんどの単語が長期記憶に移行されるので、なかなか忘れなくなります。少なくとも前者より後者の方が遙かに長く記憶に残ることが当塾の指導経験上、分かっています。

4.4.長期記憶に入れるには日を分けて復習する必要がある

英語や数学の勉強で、感情をいつも喚起しながら勉強は出来ませんから、長期記憶に入れるには、必然的に、日を分けて3~7回以上復習するしかないことが分かります。回数には個人差がありますから、科目・分野ごとに、自分で確認していく必要があります。

例えば、数学の問題集を3回だとまだスラスラ解けるようにならない、5回でもまだ、7回で8割スラスラ解けるようになった、10回で全問スラスラになった。
この人の数学の適正復習回数は10回になります。

このように自分で自己観察して適正復習回数を探っていくのです。

5.最適な復習システム(復習回数と復習間隔)

次の問題は、復習は何回、どういう周期でしたらいいのか?ということです。
それが分からないから、みんな、勉強に苦労しているのです。逆に、これが分かれば、理解以外、何の問題もなくなります。その復習回数・復習間隔を実行すれば全て長期的に記憶できるからです。

最適な復習回数と復習間隔は、科目や分野によっても違いますが、おおむね、問題集は以下が最適です。

【2週間以内に進んだ分を1セットにして復習し、そのまま10回復習する⇒次のセットを10周する】

2週間以内に復習するのは2週間を超えると急速に忘れていくためです。10回復習するのは、長期記憶に入れるためと、効果が絶大な割に、時間もそれほどかからないためです。

6.復習を10回する7つの理由

6.1.復習を10回すると「スラスラ状態」になる

問題集の復習回数の目安は、10回というより、
問題を見たら解き方がスラスラ思いつく状態(数学・物理・現代文)」
問題を見たら解答を即答できる状態(理科・社会・英文法)」
問題文を見たら意味がスラスラ分かる状態(英語・古文・漢文)」です。

この状態になれば、3回でも5回でも、それがその科目のあなたの適正復習回数です。

適正復習回数の目安は、例えば数学問題集の場合、超得意な人(偏差値70以上)で2~4回、得意な人(偏差値60以上)で3~8回、普通の人(偏差値50~60前後)で7~10回、不得意な人(偏差値50以下)で8~12回前後です。

普通の人で復習が10回必要になる人が多いので、「復習は10回必要」と言っています。

6.2.復習を10回すると長期記憶に入る

偏差値55以上の人であれば、ほとんどの人が5~10回の復習で全問スラスラ解けるようになり、長期記憶に入り、数ヶ月以上忘れなくなります。

スラスラ状態」「即答できる状態」「英文や古文をスラスラ読める状態が長期記憶の目印です。

6.3.復習を10回すると解くスピードが速くなる

数学や物理で問題集の問題がスラスラ解けるようになれば、類題もほぼスラスラ、素速く解けるようになります。
英語・古文・漢文で教科書や長文問題集を30~50編「スラスラ読める状態」にすれば、初見の英文もスラスラ読めるようになります。
定期テストでも入試でも、テストは時間との勝負ですから、速く解けるほど断然有利になります。

一方、2~3回しか復習しなければ、解くのに時間もかかり、また速やかに忘れますから、定期テストでも入試でも不利になります。

6.4.復習を10回すると応用問題が解けるようになる

数学や物理で、応用問題とは、「基礎・標準問題の組み合わせ」です。ということは、基礎・標準問題の解き方がしっかり頭に入っていなければ、時間がかかったり、解けなかったりします。

逆に、10回復習して「問題を見たら解き方がスラスラ思いつく状態」になっていれば、複数の解き方がスラスラ思いつき、解ける可能性が格段に増します。

6.5.復習を10回すると得意科目になる

数学や英語は「積み上げ型」の科目なので、前に学習した内容を忘れていれば、発展分野が分からなくなります。逆に、前の内容を10回復習して、理解と記憶を長期記憶に入れておけば、発展分野も理解できます。

そうやって、数学や英語でしっかり復習して進めていけば、知識と理解が積み上がり、得意になっていきます。

6.6.復習を10回すると受験で合格点を取れる可能性が高まる

10回の復習で、勉強した内容のほとんどが長期記憶に入り、類題・応用問題も解けるようになり、得意になれば、当然、受験で合格点を取れる可能性が、今よりずっと高まります。

6.7.復習を10回すると勉強がラクに楽しくなる

2~3回しか復習したことのない人(ほとんどの中高生)には分からないと思いますが、問題集を解くときには「5回の壁」があります。

復習が3~4回までは、頭から記憶を絞り出すように、苦しみながら解くのですが、5回を超えると格段に「ラクに解ける」ようになります。スラスラ解ける問題が、5~7回で一気に増えるのです。そして8~10回の復習で、ほとんどの問題が「ラクに、スラスラ解ける」ようになります。

そうすると、数学や英語の勉強は、もはや苦しみではなく、パズルを解いたり、小説を読むときのように、楽しみで解く感覚に近くなります

7.復習10回と復習4回でかかる時間はほとんど変わらない

例えば数学で、1章分を、10日間で10時間進めるとします。暗記数学で効率的に進め、1問に15分掛かったとして、10時間で40問。ここまでを1セットとして10周します。
2周目は、10日しかたっておらず、まだ結構覚えているので1周目の50~70%、平均で60%の時間で終えることができます。
3周目も2周目の60%、以降もだいたい同じ比率で終えることができます。
つまり、5周目は1周目の約10分の1の時間(1.3時間)、10周目は1周目の約100分の1の時間(6分)で終えることができます。6分で終えるとはどういうことかというと、全ての問題で、「問題を見た瞬間に解き方が分かる状態」になるのです。

【1回目10時間⇒2回目6時間⇒3回目3.6時間⇒4回目2.2時間⇒5回目1.3時間⇒……10回目0.1時間(6分)≒合計25時間】

これを見ると分かる通り、5~10回目の6回分の復習時間はわずか3.2時間です。4回だけ復習するのと10回復習するのとでは、わずか3.2時間の違いで、大きな違いが生まれます。ぜひ皆さんも復習10回を一度で良いからやってみてください。

復習回数と復習間隔は、教科や分野、記憶すべき量、学習者の記憶力等によって異なります。次のページから、分野ごとに標準的な復習システムを述べていきます。

成績がいい子はみんな「10回くらいはやっている」

「きめる!センター現代文」船口明著 406ページ

先日ある生徒が落ち込んだ顔で僕を訪ねてきました。「理科が苦手で、どうしても成績が上がらないんです……」。彼はこう言います。「テキストは復習して内容は理解してます」「問題集で演習もしました」「それなのに上がらない」と。

僕は聞きました。「問題集は何回やったの?」。「項目にもよりますが、間違ったところは2回、解けたところは1回です」。なるほど。そりゃあそうです。それでは成績が上がるわけがありません。

勉強は「繰り返し」で成績が上がっていくものです。

かつて、ある超難関国公立大の医学部に現役合格した女の子は言いました。「私は『天才』なんかじゃないんです。K君みたいに、授業の復習をして問題集を1回解いただけで出来るようになるっていう子もいます。ああいう子は確かに天才です。でも私、理科も数学も10回くらい繰り返して、やっとできるようになるんです。だから私は天才じゃありません。」

僕は「はっ」としました。彼女はずっと全国模試の成績が一ケタ台だった子です。正直、そこまで繰り返しているとは思っていなかった。でも、彼女は、「10回やって」その順位にいたんです。しかも彼女は、周りの友達も、成績がいい子はみんな「10回くらいはやっている」って言うんです。

どうでしょう。皆さんは「天才の勉強法」になっていませんか。

才能がないんじゃない、繰り返しが足りないだけです。だからできないと嘆く前に、何度も繰り返す。5回やってダメなら10回やればいい。10回でダメなら15回やればいいんです。

■【長期記憶】シリーズの全体は以下の通りです。

【長期記憶に入れる(1)記憶の原理】

【長期記憶に入れる(2)数学系科目】

【長期記憶に入れる(3)英単語】

【長期記憶に入れる(4)音読で長期記憶に入れる】

【長期記憶に入れる(5)英語教科書】

【長期記憶に入れる(6)英文解釈書】

【長期記憶に入れる(7)英語長文問題集】

【長期記憶に入れる(8)英語過去問】

【長期記憶に入れる(9)瞬間英作文】


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