勉強法(4-4)圧縮例文式英単語帳の暗記法

このページでは、高校入試用英単語帳の主要な一形式である「圧縮例文式」英単語帳の効率的な暗記法、そして暗記した英単語全てを長期記憶に入れる復習法を、「システム英単語 中学版」(駿台)を例に書いていきます。

1.圧縮例文式英単語帳

1.1.圧縮例文式の英単語帳とは

「圧縮例文式」とは、10ワード前後の比較的短い例文の中に暗記すべき英単語を4つも5つも詰め込んだ英単語帳の形式です。

中学レベルの英単語帳には、単語単体で覚える形式、フレーズ式、圧縮例文式、長文式の主に4種類ありますが、中でも圧縮例文式には様々な利点があるので、最もオススメです。

4つの単語集形式とその特徴については【オススメ英単語帳】に書いています。

1.2.圧縮例文式の英単語帳をオススメする理由

(1)短い英文中で英単語の意味を暗記すると、覚えやすく、忘れにくい:英単語単体だと、暗記しにくく忘れやすいですが、フレーズや英文中で覚えたら、覚えやすく忘れにくい。

(2)圧縮例文式なので効率がズバ抜けて良い:普通の英単語帳のように「1単語1例文」だと1900英単語につき1900例文を習得しないといけないので、効率が悪く、実質的には例文は利用・習得できません。その点、圧縮例文式なら、「1英文に4~5ワード」なので圧倒的に効率が良い。

(3)英文の中で覚えると英単語の使い方を含めて暗記できる。

1.3.前提となる英文法力

英文中に中学英文法全般が用いられていますから、中学英文法を一通り終えている必要があります。

ただし、中1~2年生でも、以下の「ハイパー英語教室 中学英文法」などを使えば、中学英文法を3~5ヶ月で終わらせることが可能なので、英単語暗記と英文法を並行して進めることも可能です。

「ハイパー英語教室 中学英文法」(安河内哲也著、桐原書店)
Z会中学英文法 Fine」(Z会)
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく」(学研)
くもんの中学英文法」(くもん)

2.「システム英単語 中学版

2.1.「システム英単語 中学版」とは

高校入試用の圧縮例文式英単語帳には以下のようなものがあります。

システム英単語中学版」(見出し語1700語、駿台)
高校入試 短文で覚える英単語1900」(見出し語1300語:文英堂)
例文で覚える中学英単語・熟語1800」(見出し語1450語:学研)

その中で創賢塾が最もオススメするのは「システム英単語中学版」です。

理由は、単純に、見出し語数が多いからです。見出し語でないと暗記したかのチェックがしにくいので、見出し語数が多い単語集がオススメです。

2.2.暗記する内容

システム英単語中学版」には、左欄の見出し語、上の例文、右欄の英単語・英熟語・フレーズが載っていますが、その暗記順序は以下がオススメです。

(1)見出し語の暗記:まず、約1700の見出し語を暗記します。

 例文式なのに、例文からではなく、見出し語から暗記していく理由は、最初に例文を英作文でき、和訳できるようにしても、例文では一語義しか覚えられないため、結局は英単語の複数の語義を後から暗記する必要があるからです。

 それであれば最初から英単語を暗記した方が効率的です。また、当塾が使っているクイック・レスポンス法であれば英単語単体でも速やかに暗記できるからです。

(2)派生語・関連語の暗記:見出し語以外の、右欄に書かれた英単語・英熟語・フレーズのうち、覚えるのは以下。

 ①覚える:他の箇所で見出し語に出ていない英単語、英熟語。

 ②覚えない(後回し):見出し語と同じ意味が使われたフレーズ:例:見出し語「street 通り、道」について、「a busy street にぎやかな通り」。

(3)例文暗記:531例文を瞬間英作文で暗記します。

(4)見出し語と同じ意味が使われたフレーズの暗記:最後に、余裕があればこれを暗記します。

3.英単語単体の暗記法

3.1.クイック・レスポンス法とは

創賢塾では100英単語を「1日30分×7日間(合計3.5時間)」で記憶できる方法を教えています。これは英語通訳も使っている効率的な暗記法であるクイック・レスポンス法を、長期記憶に入れられるように創賢塾が改良した方法です。

クイック・レスポンス法なら、100英単語を「毎日30分×7日」で、300英単語を「毎日90分×7日」or「毎日30分×3週間」で暗記できます。50英単語なら毎日15分です。

3.2.クイック・レスポンス法の実際

クイック・レスポンス法は、まず、「英単語⇒日本語訳」のテストをし、全語義を即答できなかった英単語に印を付け、それを以下のように暗記します。

【「英単語⇒日本語訳」×「即答できるまで1~5回音読」×100英単語×6周(30分)×7日】

詳しくは【英単語羅列形式単語集の暗記法】に書いています。

3.3.「システム英単語中学版」の暗記順序と掛かる時間

暗記に掛かる時間の目安は、現状の語彙量・記憶力により異なりますが、ここでは「普通の記憶力の中学2年生で、半分くらいは見たことがあり、テストして20%の見出し語については全語義を即答できる人」の場合を書いていきます。

英単語の暗記は「英単語⇒日本語訳」のみ暗記するとし、「日本語訳⇒英単語」やスペル暗記の時間は考えません。

復習しながら全体を1周暗記する時間は以下の通りです。全体を長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れるには、以下の1.5~2倍の時間がかかります。

(1)見出し語暗記:70時間:最初にクイック・レスポンス法で見出し語(英単語熟語)を暗記し、それを1周してほぼ覚えます。

(2)フレーズ等の暗記:60時間:見出し語の復習をしながら、「フレーズ・派生語等」を同様にクイック・レスポンス法で暗記します。

(3)英文を瞬間英作文で暗記する:40時間:見出し語、フレーズ等を暗記したら、いよいよ英文を瞬間英作文で暗記し、使い方を身に付けます。

創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい中学生のために【英単語帳1冊を全部暗記する3ヶ月自宅集中セミナー】【1000英単語を暗記する1ヶ月自宅集中セミナー】を開催しています。【中学生用:長期勉強法コース・短期セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。

4.例文暗記法

4.1.瞬間英作文

瞬間英作文とは、10ワード前後の英文法例文を「日本語訳から英文を言える(=英作文できる)」ようにするために開発された暗記法で、大人の英語上級学習者ならたいていの人が知っている有名な方法です。

簡単に言うと以下のようになります。

【「2回口頭和訳⇒英文を5~7回音読⇒暗唱⇒瞬間英作文(日本語を見て英語に訳す)」⇒言えたら次の英文へ、言えなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」⇒30~50例文⇒週10周】

4.2.一週間で暗記する量を決め、10周する

以下は、『中学英文法を一通り習得して、英文法がほぼ問題ないレベルで、「システム英単語中学版」の英単語を一通り暗記していて、英文の暗記に毎週4時間(平日30分、土日合計1.5時間)割ける方』を想定して書いていきます。

この場合、毎週約40~50英文暗記できます(10週間前後で全英文暗記)。

毎週50英文でも30英文でも暗記法は同じですが、英文法例文暗記も英単語暗記も基本的に一気に行うのがコツです。半年で暗記、などと悠長にやっていると、進める一方でどんどん忘れ、挫折する可能性が高まるからです。

4.3.「システム英単語中学版」の531英文を瞬間英作文で暗記する

ここでは毎週4時間で50英文を「日本語訳から英文を即答できる」ように暗記していくことを想定して書いていきます。

システム英単語中学版」の英文暗記法

(1)第1セット50英文の暗記:1周目【2回口頭和訳⇒5~10回音読⇒暗唱⇒瞬間英作文(日本語訳を見て英文に訳す)⇒言えたら次へ、言えなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」⇒次の英文へ⇒50英文】

 ①口頭和訳する:2回連続で正しくスラスラ和訳できるまで、スラッシュ訳で、2~4回口頭和訳します。英文を文法的に分からなければ誰かに必ず聞いて理解します。

 「スラッシュ訳」とは、「3~5ワード前後の意味のまとまりで、前から前から訳す方法」です。英語速読・リスニングに非常に役立ちます。

 ②音読・暗唱する:速く詰まらずに音読できるまで、5~10回前後音読したら、暗唱してみます。スラスラ暗唱できたら瞬間英作文へ、暗唱できなかったり、できても詰まり詰まりだったら、スラスラと暗唱できるまで、「音読⇒暗唱」を繰り返します。

 ③瞬間英作文(日本語訳を見て英文に訳す):日本語訳を見て英語に訳します。スラスラ訳せたら次の英文へ、スラスラ訳せなかったり間違えたら、スラスラ訳せるまで、「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」を繰り返します。

 ④音声を聴く:正しい発音で音読するため、音読前後に毎日10分音声を聴きます。

(2)第1セット50英文を1~2日で1周し、1週間で10周する。

 ①5周目以降:【瞬間英作文(日本語訳を見て英文に訳すテスト)から始める⇒即答できたら次へ、即答できなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」】

 暗記してきたら、口頭和訳や音読はとばして、テストから初めます。時間短縮のためです。

 ②10周する:週10周ということは、後半は1日2~3周するということです。10周すれば普通は瞬間英作文(日本語訳を見て英語を即答すること)ができるようになります。

 ③毎日10分リスニング:第1セットの英文の音声を毎日10分聴いて、意味を理解できるようにします。これでリスニング能力が上がります。

(3)第2セット50英文を同様に暗記する。

 ①暗記法は全く同じ。

 ②第2セットを新規で暗記するのと平行して、第1セットの復習を必ず行う:【瞬間英作文⇒即答できたら次へ、即答できなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」】×週2周

 「週2周×15分」などを復習に当て、1分3英文くらいのスピードでチェック・暗記します。

(4)第3~11セットも同様に暗記する。

 ①暗記法は全く同じ。

 ②既習部分を毎週「1セット15分×週2周×全セット」復習:復習法は同じ、【瞬間英作文⇒即答できたら次へ、即答できなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」】×週2周×全セット

(5)全体を2ヶ月以上復習し、10周する。

 ①全体2~10周目:全体の1周目が終わっても、全てが長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入っているわけではないので、復習しなかったら必ず少しずつ忘れます。

 忘却を回避し、より深い記憶に入れていくため、全体を以下のように復習します。復習法は同じです。

 【1セット7分×週2周×全6セット(週約80分)×2ヶ月以上復習(合計10周以上)】

 ②夏休みや冬休みなどの長期休暇中にも復習する。

 こうやって何度も何度も、しつこく復習して初めて、長期記憶に入り、忘れなくなります。最終的に30~40周暗記します。

5.「システム英単語中学版」暗記の6つの到達目標とその効果

システム英単語中学版」暗記の到達目標とその効果は以下の6つです。

システム英単語中学版」暗記の6つの到達目標とその効果

(1)英単語力:目標:見出し語を全て、次いで、フレーズ・派生語等を全て即答できるように暗記する

 ⇒効果:高校入試に必要な英単語熟語をほぼ全て暗記でき、英単語力が上がる。

(2)英作文力:目標:全531英文を英作文できるようにする

 ⇒効果:英作文力が上がる:英作文は英文法例文を暗記することで初めて伸びますから、中学英文法がほぼ網羅された531英文を瞬間英作文で暗記すれば、英作文力・英会話力が飛躍的に上がります。

(3)英文法力:目標:瞬間英作文の過程で全英文を理解し、「スラスラ口頭和訳」できるようにする

 ⇒効果:英文法力が上がる:531英文には中学英文法がほぼ網羅されているので、それを理解しスラスラ和訳できるようにすることで、英文法力が上がります。

(4)リスニング能力:目標:毎日10分リスニングし、全英文を聴いて意味がスラスラ分かるようにする

 ⇒効果:リスニング能力が上がる。

(5)リーディング能力:目標:英文を和訳し、理解しながら音読する

 ⇒効果:リーディング能力が上がる。

(6)英語力&合格力:目標:英単語力・英作文力・英文法力・リスニング能力・リーディング能力が上がる

 ⇒効果:英語力が上がり、志望校に合格する可能性が飛躍的に上がる。

6.「システム英単語中学版」の後の英単語力強化

システム英単語中学版」の見出し語・「フレーズ・派生語等」を暗記すれば、高校受験で必要な英単語はほぼ網羅しますが、単語帳に書いてあるのとは違う語義が出るなど、完全ではないので、「システム英単語中学版」の復習をしながら、以下の暗記を入試まで続けます。

【英語教科書・英語長文問題集・過去問で、意味の分からない・違う語義の英単語熟語を自作英単語ノートに書き、クイック・レスポンス法で暗記する】

7.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

英単語暗記には時間がかかり、忘れやすいため、甘くありません。地道に頑張ってください。

あなたの健闘を祈ります。

創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい中学生のために【英単語帳1冊を全部暗記する3ヶ月自宅集中セミナー】【1000英単語を暗記する1ヶ月自宅集中セミナー】を開催しています。【中学生用:長期勉強法コース・短期セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。

【受講2ヶ月で英語の成績が上がりました】

Sさん(中学2年生、愛知県)のお母様

息子が塾に入りたいと言い出したのをきっかけに、体験授業を2回受講した後に、本格的に指導をお願いしています。息子は教えていただいた英語の指導内容を、それ以降、1日も欠かさずこなしています。

そして、受講前の2年2学期期末テストで、英語は63点(平均60点)でしたが、受講2ヶ月後の3学期末テストでは74点(平均60点)でした。これは中学2年で一番いい点数でした。

英語の音読は毎日5回で週35回、瞬間英作文は1週間で20英文を10周、英単語暗記は毎日100ワードを6周で週42周、数学の口頭再現法は1問5回で毎日3つ、計算・国語の音読・漢字暗記は毎日10分など、やる事を回数や時間で明確に示してくださるので、何をやればいいのか分からなかった息子には、まるで
光を照らされてここまでおいで!と言ってもらっているかのように分かり易かったと思います。

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