高校生が定期テストの漢文で9割とるのは十分可能です。テスト範囲の漢文を「訓読+現代語訳」できるようにし、語句を覚え、別途句法を全部暗記すればOKです。
このページでは漢文で満点を目指す勉強法について書いていきます。
1.漢文満点戦略
漢文の定期テスト対策は、以下のように勉強していけば、高得点を狙えます。満点を取るつもりで、「できること全て」をやりましょう。
【漢文で高得点を取るための6項目】
(1)漢文の訓読:【「1文ずつ訓読し、書き下し文で確認し、間違いなら印を付け、スラスラ訓読できるまで3回前後訓読する」×半ページ×1日3周×7日】
訓読と現代語訳ができることは漢文の基礎なので、テスト範囲の漢文をスラスラ訓読できるようにする。
(2)現代語訳できるようにする:【点やマルなどの意味の区切りで、「書き下し文⇒現代語訳」×3回音読×半ページ×1日3周×7日】
(3)語句の暗記:【「語句⇒意味」×3回音読×語句全体×1日6周×7日】
意味が分からなかった語句に印を付け、ルーズリーフにまとめ、暗記する。
(4)問題演習:テスト範囲の問題集・問題プリントがある場合は5回ほど解いて習得する。
(5)漢文の実力を上げる1:句法の暗記:テストで高得点をあげるためには、テスト範囲の文章を「訓読+訳の暗記」できるだけでは不十分で、70ほどの句法をきちんと暗記しておく必要がある。句法は教科書や問題集で暗記する。
(6)漢文の実力を上げる2:「訓読+現代語訳」できる文章を30ページ以上にする:上記を全部やっても9割以上にならない場合、実力を上げるために、「訓読+現代語訳」できる漢文を毎週1ページ増やし、30ページ、50ページと増やし、入試までに100ページ以上にする。これが漢文の実力を上げる王道だ。
2.「訓読+現代語訳」暗記法
漢文は、「訓読できて訳せる」ようにする必要があります。そして最終的に、「スラスラ訓読でき、スラスラ訳せる」ようにします。
そのための勉強法は以下の通りです。
【漢文の「訓読+現代語訳」暗記法】
【「訓読暗記3周⇒現代語訳の暗記3周」×7日】
(1)訓読暗記法:【「1文ずつ訓読し、書き下し文で確認し、間違いなら印を付け、スラスラ訓読できるまで3回前後訓読する」×半ページ×1日3周×7日】
①一度に「訓読+現代語訳」する量は約半ページ:1ページだと長くて訓読や訳を覚えにくいから、半ページ(5~8行)を1セットにし、暗記していく。半ページを「訓読+訳の暗記」して時間があれば次の半ページへどんどん進める。
②訓読回数は徐々に減らす:「訓読3回」というのは目安で、「スラスラ訓読できるまで1~3回」行う。3~4日続けると、「3回⇒2回⇒1回」でスラスラ訓読できるようになるので、回数を減らす。
③以上を7日行う:同じ半ページを7日間行ったら誰でも普通スラスラ訓読できるようになる。そうしたら次の半ページに移行する。
(2)現代語訳の暗記法:【点やマルなどの意味の区切りで、「書き下し文⇒現代語訳」×3回音読×半ページ×1日3周⇒テストし訳せない箇所に印⇒そこを3回訳す×3周】×7日
①訓読暗記3周⇒現代語訳暗記3周:訓読の暗記を半ページし終わったらすぐに訳の暗記に移る。
②テストし、スラスラ訳せるようにする:【「書き下し文⇒現代語訳」×3回音読×半ページ×1日3周】したら、漢文を見て訳すテストをし、訳せない単語・部分に印をつけ、そこを【「漢文を見ながら現代語訳する」×3回×半ページ3周】し、スラスラ訳せるようにする。訳に詰まったら現代語訳をすぐ見て良い。
例えば、7ヶ所に印を付けたら、それぞれ3回訳し、7ヶ所を終わったらそのままプラス2周してスラスラ訳せるようにする。これを毎日行う。
③次へ:半ページの「訓読+現代語訳」を3周し、時間があれば、どんどん先へ進める。
④4日目以降は毎日テストから始める:漢文を見て訳すテストをし、印を付けた部分を【「漢文を見ながら現代語訳する」×3回×3周】し、全文をスラスラ訳せるようにする。
⑤以上を7日行う:同じ半ページを7日間行ったら誰でも普通スラスラ訳せるようになる。そうしたら次の半ページに移行する。
(3)テストまで復習:先へ先へ進んで復習しなかったら忘れるので、テストまで週2回復習する。
①訓読の復習:【テスト⇒訓読できなかった箇所に印⇒印部分を「3回訓読×3周」×週2回×テストまで】
既習部分を1回通して訓読し、書き下し文で確認し、間違いの箇所に印を付け、スラスラ訓読できるまで印部分を上記のように暗記する。
②現代語訳の復習:【テスト⇒訳せなかった箇所に印⇒印部分を「漢文を見ながら現代語訳」×3回×3周×週2回×テストまで】
毎回漢文を見て訳すテストをし、間違いの箇所に印を付け、印を付けた部分を上記のように暗記する。訳に詰まったら現代語訳をすぐ見て構わない。
3.語句の暗記
意味が分からなかった語句に印を付け、ルーズリーフにまとめ、暗記します。まとめ方は、ルーズリーフの真ん中に縦線を引き、左に質問、右に答えを書きます。
【寡人|かじん。王侯の自称、謙称。】
暗記法は以下。ここでは30語を暗記するとします。30語で1日約10分です。
【「語句⇒意味」×3回音読×語句全体(30語)×1日6周×7日】
4.問題演習
テスト範囲の問題集・問題プリントがある場合は5回ほど解いて習得します。答えは暗記します。
なぜその答えになるのかを、解答・全訳などを参照し、完全に理解します。
5.漢文力を上げる1:句法の暗記
定期テストの漢文で高得点をあげるためには、テスト範囲の文章を「訓読+訳の暗記」できるだけでは不十分で、70ほどの句法を「スラスラ訓読+現代語訳」できるようにしておく必要があります。
句法は教科書や問題集で暗記しますが、ここでは、必要十分な句法が網羅され、見やすく書かれた、人気の「漢文ヤマのヤマ パワーアップ版」(三羽邦美著、学研)を例に、句法の暗記法を書いていきます。
「漢文ヤマのヤマ」習得法
(1)66の句法を「訓読+現代語訳」できるようにする
①学習の心得:「パート1・学習の心得」を読み、理解し、重要部分にマーカーを引き、暗記する。
②パート2の句法の例文を訓読できるようにする:訓読し、書き下し文で確認し、正解ならOK、できなかったり間違いなら印を付け、スラスラ訓読できるまで3回前後、訓読する。
③句法例文を現代語訳できるようにする:句法例文を訳し、現代語訳で確認し、正解ならOK、できなかったり間違いなら印を付け、以下のように訳を暗記する。
【点やマルなどの意味の区切りで、「書き下し文⇒現代語訳」×3回音読×1文×3周⇒漢文を見てテストし訳せない箇所に印⇒そこを3回訳す×3周】
④解説を理解し暗記する:解説を読み、重要な部分にマーカーを引き、暗記する。2周目以降はそこを中心に読む。
⑤演習ドリル:課題の漢文を、例文と全く同様にして、訓読でき、訳せるようにする。
⑥10周して習得する:1日6つなど進め、66番まで終わったらすぐ2周目に入り、全部で10周し、全ての漢文をスラスラ「訓読+現代語訳」できるようにする。
⑦2ヶ月復習して長期記憶に入れる:10周したのちも、「週1周×2ヶ月」復習し、また夏休みなどに復習し、長期記憶に入れる。
(2)語彙の暗記
パート2に4ヶ所ある「意味のヤマ漢ベスト50」などの暗記事項を暗記する。「意味のヤマ漢ベスト50」の場合、以下のように暗記する。
【「印の言葉の意味を3回音読」×見開き2ページ3周×7日⇒2ヶ月復習】
①読みをペンなどで消す:読みも覚えるため。
②暗記:下を紙で隠し、言えなかったり間違えたら印を付ける。印を付けた語彙を以下のように暗記する。
【「語彙⇒意味」×3回音読×1日6周×7日】
③以上を7日間続け、即答できるようにする:4日目からテストし、即答できなかった語彙だけ暗記を続ける。
④暗記後、2ヶ月復習し長期記憶に入れる:【2ページを5分で復習×週2回×2ヶ月】。
残りの3箇所も同様に暗記する。
(3)収録のセンター過去問を習得する
①時間通り解く⇒延長して解く:制限時間内に解けなかったら延長して解く。自分の今の実力でどの程度解けるか知るため。解かなかったら問題(センター過去問)がもったいない。
②解答解説・書き下し文・全文訳を見て理解する:なぜ間違えたか、どこが分からなかったかを完全にはっきりさせ、次回解いたら、スラスラ解けるように理解する。
③「訓読+現代語訳」できるようにする:上記2章の【漢文の「訓読+現代語訳」暗記法】の通り。2ヶ月復習し、長期記憶に入れる。
④5題を3周解き、問題や解き方にも慣れる。
6.漢文力を上げる2:「訓読+現代語訳できる」漢文を増やす
6.1.漢文の実力を上げる王道=習得
漢文の実力を上げる最も正統的な方法は、「スラスラ訓読+現代語訳できる漢文の数を増やす」ことです。
そのため、創賢塾では生徒に、毎週1ページ漢文を習得するよう指導し、30ページ、50ページと増やし、入試までに100ページ以上にしてもらっています。
ここで「習得する」とは、「スラスラ訓読+現代語訳できるようにする」という意味です。
6.2.習得した漢文を週1ページ分増やす
漢文の実力を上げたかったら、「訓読+現代語訳」できる漢文を「増やす」しかありません。
この場合、「増やす」というのは、いったん習得してどんどん忘れるという普通の勉強法ではなく、毎週新規で習得し、一度習得した漢文を全部2ヶ月以上復習して長期記憶に入れ、いつでも全部、「スラスラ訓読+現代語訳できる状態を保つ」、という意味です。
例えば、10週目が終わったら、10ページ分全部を「スラスラ訓読+現代語訳」できる状態を維持します。
6.3.習得した漢文を毎週復習する
習得を維持するためのカギは「2ヶ月間の復習」です。習得した後、2ヶ月復習すれば、長期記憶に入り、入試でその知識が使えます。
習得したあとの復習は以下のようにします。時間は長さや漢文難易度によります。
【長期記憶に入れる漢文復習法】
(1)訓読の復習:【テストし、間違いの印部分を「3回訓読する×3周」×週2回×2ヶ月】
1ページ分を1回通して訓読し、書き下し文で確認し、間違いの箇所に印を付け、スラスラ訓読できるまで印部分を上記のように暗記する。
(2)現代語訳の復習:【テストし、間違いの印部分を「漢文を見ながら現代語訳する」×3回×3周×週2回×2ヶ月】
1ページ分、漢文を見て訳すテストをし、間違いの箇所に印を付け、印を付けた部分を上記のように暗記する。訳せなかったら現代語訳をすぐ見て構わない。
(3)夏・冬・春休みに復習する:2ヶ月復習するといっても、普段から漢文を毎日勉強することは実際には難しいし、定期テストなどもあり、2ヶ月は復習できないかもしれない。
よって、長期休暇中、特に夏休みに、それまで習得した漢文を全て復習し、「スラスラ訓読+現代語訳」できる状態を復活させると良い。
これを続けて、5週間目の勉強内容と時間はだいたい以下のようになります。
【5ページ目:毎日15分(訓読の暗記+現代語訳の暗記)×7日=2時間弱】+【4ページ分の漢文の復習:1ページ分10分×週2回×4ページ=80分】
復習時間は、その漢文を「スラスラ訓読+現代語訳」を維持できるかどうかで決めます。1ページを週20分復習すれば維持できるなら、それは20分で良くて、週20分だとだんだんスラスラできなくなるページは25~30分など時間を増やします。
同じ漢文を何週間も復習するので、復習時間はだんだん短くなるはずです。
6.4.習得した漢文をルーズリーフにリスト化して管理する
「毎週1ページ分の漢文の習得」を3ヶ月も続けると、10ページ以上になり、どれをいつ復習するかを頭の中だけでは管理しきれなくなります。
そこで、例えば以下のようにルーズリーフにリスト化して管理します。
【教科書・臥薪嘗胆(十八史略)1ページ分|9/10~17、習得OK、9/25復習10分維持OK……】
習得した漢文を全てルーズリーフにまとめると、リストを見て、前の日付から3~7日経った漢文を復習すればよいと分かります。
【終わりに】
漢文は、以上を授業と並行して進めれば、満点が狙えますし、得意科目にできます。ご健闘を祈ります。
【高校生の定期テスト満点戦略(メニュー)】
(1)全体方針編
(2)定期テストで入試対策編
(3-1)コミュ英語
(3-2)英語表現
(3-3)英語読解力
(4)数学
(5-1)現代文①定期テスト対策編
(5-2)現代文②読解力編
(5-3)現代文③論理的読解力編
(5-4)現代文④論理的記述力編
(5-5)現代文⑤小論文編
(5-6)現代文⑥論理的解答力編
(5-7)現代文⑦真の理由と対策編
(6)古文
(7)漢文
(8)理科
(9)社会