長期記憶に入れる(8)英語過去問

受験に成功するには過去問を最大限活用することが必須です。なぜなら、「過去問は自分が受験するときの問題に最も傾向が近い問題の集まり」だからです。

よって、英語過去問は5年分を10周し、長期記憶に入れます。

1.過去問は受験の夏から解き始めるべし

1.1.普通の受験生の過去問の使い方

多くの受験生の過去問の使い方は、以下のようなものでしょう。

「入試1~2ヶ月前に初めて過去問を見て、3~5年分、1~2回解く」

直前まで過去問を解かないのは、まだ受験レベルになっていないから解いても解けないので意味がない、受験レベルになっていないのに過去問を解くと自信をなくす、直前に腕試しでどの程度取れるかを確かめる、などの理由でしょう。

しかしそれでも、受験生は過去問を3年の夏から解き始めるべきです。それも、5~10年分、各10回、問題集と同じように解くべきなのです。その理由を以下に書いていきます。

1.2.受験問題集は志望校の傾向に近いものを使うべき

受験生が夏までに使う問題集は、基礎・標準問題集でしょう。これについては、志望校の傾向にあまり関係なく、満遍なく習得できる問題集が適しています。

その後、夏~秋に使う問題集は、標準から受験レベルに引き上げるためのものを使うことになりますが、ここで受験問題集について考えるべきなのが、「自分の志望校の傾向(難易度・頻出分野・記述式か選択式かなどの問題形式)」にできる限り近い問題集を使う、ということです。

志望校(公立高校・共通テストを含め)に選択問題しか出ないのに難しい記述問題集を必死で解くのは無駄が多いですし、英語でリスニングが出るのに長文問題ばかり解くのはオススメできません。

当然だと思うでしょう。しかし、多くの受験生は入試問題の傾向を考えないで、受験問題集を選択しています。

1.3.志望校の傾向は過去問を解かないと分からない

受験生に改めて自問して欲しいのが、「今使っている(orこれから使おうとしている)問題集は自分の志望校の傾向に最大限近いもなのか?」ということです。

では、YesにしろNoにしろ、次の私の質問は、「あなたは自分の志望校の傾向をどうやって知ったのですか?」ということです。
過去問を解かないで、「あなたは自分の志望校の傾向をどうやって知ることができるのですか?」。

もちろん、できません。

最低限、過去問を「3年分×3回」、可能なら「5年分×5回」解けば、過去問の傾向を身をもって知ることができ、適切な問題集の選択ができるようになります。

よって、過去問は、受験問題集に入る前、夏休みから解き始めるべきなのです。

2.過去問は自分が受験するときの問題に最も近い問題集である

受験生が気づいていない、過去問について最も重要なことの一つは、「過去問は自分が受験するときの問題に最も近い問題集である」という事実です。

もちろん、同じ問題は出ません。しかし、
数学では、同じ問題は出ませんが、類題が出ます。傾向は、数年単位で考えると、ほぼ同じ場合が多いのです。
英語では、同じ英文は出ませんが、同じ難易度の英文・英文法・英語構文・英単語・英熟語、同じ傾向の問題が出ます。
現代文(国語)では、同じ文章は出ませんが、難易度と長さの似通った文章、同じ傾向の問題が出ます。

「過去問を活用しない手はない」

「赤本の使い方」(和田秀樹著、ブックマン社、181ページ)

考えてもみてください。過去問とは、これから自分が受けようとする志望校が実際に出題した問題なのですよ。過去問には、その大学が志望者に何を求めているのか、自分が今その大学の問題レベルに対してどれくらいの位置にいるのか、そういった貴重な情報がたくさん詰まっているのです。それを活用しない手があるでしょうか!?

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3.過去問は受験問題集として使い、長期記憶に入れる

3.1.過去問を受験問題集として徹底的に使い倒す

過去問より、自分が受験するときの問題に近い問題集は存在しない」。

だから、過去問を受験問題集として徹底的に使い倒すのが正解です。

受験生は、一般の受験問題集と並行して、過去問を「3年分×10周」⇒「5年分×10周」⇒「10年分×10周」と仕上げていきましょう。

全問、以下の状態になるまで5~10回の復習を続けます。

「問題を見たら解き方がスラスラ思い浮かぶ状態(数学・物理)」
「問題文を速く正確に読める状態(英語・古文・漢文)」
「問題を見たら即答できる状態(社会・理科・英文法・英作文)」
「問題文を論理的に読めて、問題を論理的に解く手順がスラスラ思い浮かぶ状態(現代文・国語)」。

こうして長期記憶に入れ、受験レベルの問題をスラスラ解けるようにします。

「赤本を問題集に見立ててガツガツと知識を吸収する」

「赤本の使い方」(和田秀樹著、ブックマン社、174ページ)

過去問演習は、解きっぱなしで終わらないことも重要だ。「問題を解いて答え合わせをして終了」では、あまりにもったいない。過去問は”使える知識の宝庫”でもある。間違えた問題は解答や解説を読み、知らなかったことや忘れていたことを参考書に戻って復習し、再整理して覚える。ここでストックした知識は、そのまま本番で使える。

直前期には、新しい参考書に手を出さない代わりに、過去問を解きながら貪欲に知識を吸収していく。よく、「同じ問題は二度と出ないのだから、過去問をやる必要はない」と言う人がいるが、数年前に出た問題が、”類題”程度に形を変えて再び出題されることも、実は珍しいことではない。

3.2.過去問の英語長文は100回音読する

過去問の英語長文は、時間通りに解いて自己採点し、間違えた箇所の解説をしっかり読んで間違えた理由をはっきりさせます。普通の受験生はここで終わりですが、創賢塾の英語指導ではここが始まりです。

すなわち、(1)全文を文法的に完全に理解し、(2)30~100回音読し、(3)スラッシュ訳(3~5ワードの意味のまとまりで区切りながら、返り読みをしないで、前から前から訳していくこと)で前から前から読めるようにし、(4)スラスラ訳せるようにし、(5)完全に記憶します。

以上は当塾の音読勉強法を続ければ簡単に実現できます。

これを5年分前後行うことで初めて、過去問の傾向が身をもって分かり、過去問の内容を長期記憶に入れて受験時に役立たせることができ、適切な受験問題集を選択でき、そして実力を過去問レベルに引き上げることが可能になります。

3.3.過去問の英作文は瞬間英作文で暗記する

英作文は、受験生が一番苦手にしている分野です。なぜ苦手なのかというと、「英文を暗記していない」からです。中学の文法例文、高校の文法・構文例文を暗記すれば、その応用で受験レベルの英作文も書けるようになります。

例文暗記は瞬間英作文という暗記法を使えば簡単に暗記できます。例えば、400例文を覚えるのに25~30時間前後しかかかりません。瞬間英作文についてはこちらで詳しく書いています。

【高校受験生:中学英文法例文暗記⇒過去問の英作文模範解答の英文暗記】

【大学受験生:中学英文法例文暗記⇒高校英文法・構文例文暗記⇒過去問の英作文模範解答の英文暗記】

ちなみに、大学受験生も中学例文の暗記をやった方が良いのですが、なぜかというと、ほとんどの高校生は中学レベルの英作文も書けないからです。

10回解く方法がとにかく力を伸ばしたと実感しております

Yさん、小学6年生(愛知県、東海中学[偏差値72]合格)

◎東海中学(偏差値72)に合格しました!

いつも大変お世話になっております。
今朝、東海中学から合格をいただきました!

過去問を10回解く方法が力を伸ばした

先生のおっしゃる10回解く方法がとにかく力を伸ばしたと実感しております。

5,6回目までは文句たらたらだったのですが、そのうち、初見でも解ける問題が増えたのを本人も実感したようで、算数などは最後の1週間は、過去11年分を全て解き終わり、2日ほどでさらに昔の5年分くらいの図形問題を解いておりました。

理科や社会も同じような感じでいけるのか不安でしたが、社会も5回目くらいになると解ける問題が急激に増えるのを私も横で見ていて実感しました。

国語も、東海中学の前の、同志社(偏差値69)や立命館(偏差値68)、名古屋中学(偏差値66)の結果を鑑みると、随分点数の取れる解答用紙を作れるようになったのではないかと考えております。

◎信じて、頑張って、実力が付き、結果が出た

先生のおっしゃることを信じ、最後まで頑張ったことで、実力がつき結果を出すことができたと思います。
本当にお世話になり、ありがとうございました。心から感謝いたします。

4.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この文章があなたの成績アップ・合格につながれば幸いです。

健闘を祈ります。

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■【長期記憶】シリーズの全体は以下の通りです。

【長期記憶に入れる(1)記憶の原理】

【長期記憶に入れる(2)数学系科目】

【長期記憶に入れる(3)英単語】

【長期記憶に入れる(4)音読で長期記憶に入れる】

【長期記憶に入れる(5)英語教科書】

【長期記憶に入れる(6)英文解釈書】

【長期記憶に入れる(7)英語長文問題集】

【長期記憶に入れる(8)英語過去問】

【長期記憶に入れる(9)瞬間英作文】

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