中学入試の作文上達法(6)課題文の読み方

中学入試に作文が出る場合、国語の長文問題(記述問題、選択肢問題等)の一部として、もしくは、長文問題と関連して出ることが多いです。

その際には当然、課題文(本文・長文)を論理的に読む必要があります。以下では、課題文を論理的に読む方法を書いていきます。

1.課題文を論理的に読む方法

1.1.課題文にキーワードとキーセンテンスを付ける

課題文を読むときはキーワード(重要な言葉・連語)とキーセンテンス(重要な文)に印を付けなければなりません。

「キーワードとキーセンテンス=重要部分」で、問題に出たり答えに関連する箇所は重要部分なので、キーワードとキーセンテンスに適切に印を付けられれば問題が解きやすくなるからです。

よく、「論理的に読め」と言われますが、文章を論理的に読む最も有効な方法の1つは、キーワードとキーセンテンスに印を付けることです。

1.2.キーワードの適切な見つけ方

キーワード(重要な単語・連語・フレーズ、10字未満の重要部分)の見つけ方は以下の通りです。

【論理的文章のキーワードの見つけ方】

(1)「話題(=主題=テーマ)」はキーワード。

 話題とは「その文章は何について書かれているか」です。

 論理的な文章を読むときの最優先事項は話題を見つけることで、次は「主張(話題について、筆者が一番言いたいこと)」を見つけることです。

 話題と主張を混同する人が多いですが、全く異なるのできちんと区別して覚えます。

(2)2回以上出てくる言葉はキーワードの可能性が高い。

 ただし、「話す、作る、生活」などの普通の言葉は、2回以上出てきてもキーワードの可能性は低いです。

(3)主張の中にキーワード

 主張にはキーワードがたいてい入っているので、主張を見つけたら注意深くキーワードを探します。

1.3.キーセンテンスの適切な見つけ方

キーセンテンス(重要な文、10字以上の重要部分)の見つけ方は以下の通りです。

【論理的文章のキーセンテンスの見つけ方】

(1)最後が重要

 ①課題文の最後:文章の最後にはほぼ必ずキーセンテンスがあります。

 主張は最重要のキーセンテンスで、主張は文章の最後(最後5~10行前後や最後の段落)にあることが多いので、そこを注意深く探します。

 ②段落や意味段落の最後:段落や意味段落の最後にもキーセンテンスがあることが多いです。

 意味段落とは、同じ話題の一続きの形式段落(1字下がった、通常の段落)のことです。3~4前後の形式段落で1つの意味段落を構成することが多くなります。

(2)最初も重要

 文章の最初には話題(何の話か)が書かれます。話題を押さえないと話の筋道(流れ)の理解があいまいになるので、話題は重要で、キーセンテンスになります。

(3)逆接の接続語・結論を導く接続語の後は重要な可能性が高い

 キーセンテンスは、「しかし・だが(逆接)、つまり・要するに・すなわち、したがって・ゆえに・それゆえ・だから、このように・こうして・結局、いずれにしても(結論を導く)」などの特定の接続語の後にあることが多いです。

 よって、これらを見つけたら、その後を注意深く読み、内容的にも重要なら印を付けます。

 接続語自体は四角で囲みます。

(4)強調表現で強調される部分は重要

 強調表現の前後の強調される部分はキーワード・キーセンテンスになる可能性が高いです。強調表現は四角で囲みます。

 強調表現とは「とても、非常に、最も~、重要なのは~、本質、根源的、基本的、こそ、まさに、実は、~が重要だ、~のだ、~なのだ、~なのである、~のです、~なのです」などで、強調表現自体が重要なのではなく、その前後で強調されている部分が重要です。

 強調表現とは、筆者がわざわざ「これは重要ですよ」と示してくれている内容なので重要です。

(5)主張の可能性が高い表現

 「(私は~と)思う、考える、気づいた」「~すべきだ、~しなければならない」「反語表現(~ではないだろうか、~と言えないだろうか)」などとあったらそれは主張の可能性が高いのでキーセンテンスです。

(6)問題提起とその答えは必ず重要

 「問題提起」とは、文章の中で筆者が読者に問いかけるような文のことです。例えば、「日本の現代建築の最大の特徴は何だろうか。」など。

 筆者は問題提起の答えを知っていますが、それをなぜわざわざ疑問形にして話を長くするのかというと、その答えが重要だからです。よって、問題提起があったら、その答えを探しながら読み、答えを見つけたら印を付けます。

(7)「根拠(具体例・体験談など)」は重要度が低いので、キーセンテンスにはなりにくい。

 論理的文章の一つ一つの文は、主に、「主張」と、主張を補強する「根拠」の2つに分けられます。

 「主張」とは「筆者の一番言いたいこと」ですが、「主張」を提示するだけでは読者は納得しませんから、著者は必ず「根拠」を複数挙げます。ただ、根拠は「主張」をサポートする要素なので、主張より重要性は低く、キーセンテンスにはなりにくいです。

 根拠には、「理由、説明、言い換え、定義・分類、例示・具体例、科学的データ、引用、体験談、比喩、時系列変化」などがあります。

(8)論理関係とキーセンテンス

 文と文との関係、論理関係には「言い換え(イコールの関係)、因果関係(なぜなら、だから)、逆接・対比・対立、譲歩(予想される反論とそれへの反駁:なるほど~だが、しかし~)、進展(次の話題に移る:ところで)」などがあります。

 このうち、①因果関係の結果、②逆接の後、③対比の重要な方、④譲歩(なるほど~だが、しかし~)の逆接の後、の4つはキーセンテンスになりやすいです。

(9)普通でないことが重要

 普通のこと・常識的なことを書いても、みんな知っているから重要ではありません。逆に、普通でなく常識とは違うが、説得力のある文章が、重要だし評価されます。

 常識的な内容と常識に反した内容が対比して書かれていたら、たいてい後者の方が重要になります(常識はこうだが、実はこうだ、など)。

(10)内容

 (1)~(9)の内容は、形からある程度分かります(「しかし」と書いてあるなど)が、それで100%重要とは限りません。それに加えて内容も重要なら、キーセンテンスになります。

2.読解力を身に付ける3つの方法

課題文を読み取り、問題に答えるには、当然、「読解力」が重要になります。

読解力とは、文章の意味がより深く分かり、要点(話題・キーワード・キーセンテンス・主張)を素速く把握できる能力のことです。

読解力を身に付けるには、読書、30回音読、要約トレーニングが有効です。

(1)読書:6年生になるまではできるだけ週1冊は読書をします。読書をすれば、語彙が増え、読む速度が上がり、読書体力がつき、知識が増え、思考力と読解力が上がります。

(2)30回音読とは:「2~4ページ前後の国語の問題文などを、毎日10分音読し、1週間で1つの文章を約30回音読する」勉強法です。1年で約50文章を30回音読します。

 同じ文章を何度も読むと、その文章の理解度はどんどん上がり、そういう文章を30文、50文と頭に蓄積していくと、(読んだ文章だけでなく)一般的な読解力が上がっていきます。

(3)要約:要約するときには、どこが重要かを考えなければならないため、ただ読むときより遙かに深く読む必要が出ますから、必然的に内容がよく分かるようになり、読解力が上がります。要約の書き方は次章。

【過去問の記述問題・作文の添削が有り難かった】

Kさん(小学6年生、広島県、AICJ中学校[偏差値62]合格)

お陰様で、AICJ中学校を受験し、合格することができました。この度、合格通知書を受け取りましたので、ご報告差し上げます。
一刻も早くご報告差し上げたかったのですが、本人が、合格通知書を受け取るまで信じられないので誰にも報告しないでほしいと言い張っておりましたので、ご報告が大変遅くなりましたことをお詫び申し上げます。

このような結果を得ることができましたのは、ひとえに先生のご指導のお陰と、家族一同、心より感謝しております。
本当に、本当にありがとうございました!

今回は、数ヶ月前に適性検査による受検に方針転換して以来、ほぼ手を付けることができなかった国語と算数と、苦手な作文での受験でした。想像していた以上に二教科の学力が低下していましたので、受験までの一ヶ月足らずの期間でどこからどのように対策すれば良いのか分かりませんでした。通っている適性検査対策のどの塾に相談しても、何の対策も講じてもらえず、焦るばかりでした。

しかし、先生にご相談させていただき、どの塾でも対応していただけなかった受験校の過去問の添削などを丁寧にしていただいたお陰で、精神的にも落ち着いて二教科の勉強に取り組むことができました。

また、苦手な作文も、先生からのアドバイスを一つ一つ確認し、テーマを絞り、諦めず毎日書き続けたことで、本番も何とか指定された文字数の文章を書くことができ、合格に繋がりました。
本当に先生のご指導のお陰だと、心から感謝しております。

3.要約

3.1.要約を書くには

学校によっては要約を書いた上で作文を書く問題や、要約問題が出る場合があります。

要約は「キーワードとキーセンテンスを混ぜて、日本語として意味が通じるように、字数以内で書く」ことで書けます。詳しくは【要約マニュアル】参照。以下のような問題集でトレーニングします。

国語の読みテクトレーニング 説明文・論説文」(早瀬律子著、文芸社)

3.2.要約を書く

【要約の書き方】

(1)キーワードとキーセンテンスを混ぜて要約を書く

 キーワードとキーセンテンスに優先順位を付け、最重要なものから入れていき、本文の論理の流れを崩さず、本文の意味を変えず、文法的に正しく、日本語として意味が通じるように、分かりやすく、字数以内におさめて書きます。

 「本文の論理の流れを崩さず」とは、例えば、本文に因果関係で書いてあったら因果関係で書く、本文に逆接で書いていないのに自分で勝手にここは逆接だろうと推測して逆接で書くことはしない、などです。

 「文法的に正しく」とは、主語や目的語が抜けていないか、主語が2つあったり、主語と述語がねじれていたりしないか、ということです。

(2)同じような内容のキーセンテンスが複数ある場合、どれを選ぶかの基準

 ①包括的:より包括的なキーセンテンスを中心に書きます。例えば、一方が3つのキーワードを含み、一方が4つのキーワードを含んでいる場合、後者を中心にして書きます。

 ②簡潔:ダラダラと長く書かれている文より、簡潔でまとまっているキーセンテンスを取ります。

 ③分かりやすい:意味が分かりやすいキーセンテンスを選びます。

(3)主張の次に入れるべきなのは「主張の理由(論拠)」

「理由」は「なぜなら、というのは(後が理由)、したがって・ゆえに・それゆえ・だから、このように・こうして・結局(前が理由)」などの接続語から判断できます。

(4)具体例・引用・体験談などは、原則、要約には入れない

 理由以外の「根拠(説明、定義・分類、例示・具体例、科学的データ、引用、体験談、比喩、時系列変化など)」は重要性が落ちるので、原則、要約には入れません。

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4.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

皆さんの参考になれば幸いです。

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