400ページ超の教科書1冊分を記憶しなければならない大学入試の社会では、効率的な記憶法を会得し、※暗記戦略を構築できるかどうかが合否を分けます。
※「暗記戦略」とは、合格レベルに達するまで、どの教材を、どういう順序で、どう暗記していくかの、システマティックかつ長期的な計画のことです。
このページでは「二次に論述がある国公立大志望の受験生」を対象に、99%の高校生が知らない日本史の暗記戦略について書いていきます。「100字以上の日本史論述がある私立大学志望の受験生」も、論述対策はこのページが参考になると思います。
「難関私大受験生」の日本史勉強法はこちら、「センター試験のみの受験生&中堅私大志望者」の日本史勉強法はこちらに書いています。
1.日本史:受験勉強の全体戦略
センター試験と二次試験で日本史を受ける受験生の悩みは、どの教材をどの時期に使えば効率的か、通史暗記にどのくらいの期間がかかるのか、膨大な内容をどのようにして暗記するのか、その記憶をどのように維持するのか、論述対策はどのようにしたら良いのかなど、分からないことだらけだ、ということです。
あなたがもしこのようなことで悩んでいるなら、以下の記述が役に立つはずです。あなたの日本史暗記戦略を構築するのに参考にしていただければ嬉しいです。
1.1.日本史の2段階の暗記戦略
「二次に論述がある国公立大志望の受験生」が日本史を記憶するときの全体戦略は以下のようにするのが効率的です。
(1)通史暗記:センター試験過去問で8割取れる知識(流れと用語)を暗記
ここで「流れ」とは、歴史の因果関係を指します。
①予備知識を入れる:マンガなどで予備知識を先に入れると勉強がスムーズになる。
②流れの理解:教科書や講義系参考書で流れを理解する。
③用語の暗記:一問一答問題集などでセンター試験レベルの用語を暗記する。
④問題演習:問題を解くことは理解と記憶の助けになるので、センター用問題集を1冊習得する。
⑤過去問で傾向把握:早めに志望校の二次過去問を解いて傾向と対策を把握する。
(2)問題演習2:二次+論述対策:二次試験の過去問を20年分、論述問題集2~3冊を習得する
具体的な論述対策法はこちらのページに書いています。
1.2.通史暗記を始める時期
日本史の通史を暗記してセンター試験模試や過去問で7~8割以上取れるようにするには、普通の記憶力の高校生で、約200時間かかります。週6時間として約8ヶ月、週10時間で約5ヶ月です。
国公立志望者の場合、受験科目が多いので、日本史に毎日1時間は難しいでしょう。土日に頑張って週6時間勉強しても、3年の4月から始めて、夏休み中に暗記し終わるのは至難です。そうすると、問題演習や過去問演習、論述対策に時間が割けず、合格レベルにはなかなか到達しません。
ですから、できるだけ2年の夏休み頃、遅くとも2年の1月頃から受験を意識した日本史の勉強を始めるのがオススメです。
1.3.学校の授業を利用して通史暗記を進める
「受験を意識した日本史の勉強」とは、以下の3つです。
(1)マンガを読む
2年生の8月~3月に、「新マンガゼミナール 日本史」(全2巻、学研教育出版)などを10周ほど読んで、全部を頭に入れたいところです。
(2)定期テストの時に受験勉強時と同じ暗記戦略を採る
定期テストの時の勉強時に、自分が受験の時に使う予定の問題集・参考書を使うと、受験勉強とテスト対策が同時にできます。暗記戦略例は以下の通り。
【①講義系参考書を1回黙読⇒②教科書を5回音読⇒③「書き込み教科書」等で用語暗記⇒④センター試験過去問問題集を暗記】
(3)通史暗記
高校2年夏以降、テスト期間以外は、通史暗記を進めます。暗記する時代は、「前回と次回のテスト範囲」などがおススメです。
2.通史暗記の2つの戦略
2.1.重量級戦略と軽量級戦略
通史暗記の戦略としては主に2つあります。
(1)重量級
通史暗記のとき、最初から二次の論述試験を考えて、論述に必要な情報が網羅されている教科書や講義系参考書で流れを暗記し、一問一答問題集などで用語を暗記していく戦略。
通史暗記に時間はかかるが、最初から論述対策を見据えて勉強することで、記憶力の良い人は、トータルの時間が短くなる可能性があります。
ただ、最初から多めの暗記が必要なので、「覚えては忘れ、覚えては忘れ」になり、通史暗記がなかなか終わらない人もいるでしょう。
(2)軽量級
通史暗記ではセンター試験対策の軽い問題集を使用し、サッサと終わらせる戦略。
「時代と流れで覚える! 日本史B用語」(165ページ、文英堂)のような薄くてすぐ終わる問題集を使用し、まず基礎的知識を確実に暗記します。
この方法のメリットは、通史暗記が約80時間程度で終わるので、挫折する可能性が少なくなる点、少ない知識をまず覚えることで、細かい知識もそれに関連づけて覚えやすくなるという記憶の原理に合致した合理的な方法である点です。また、通史暗記が早く終わるので、模試の成績が早めに上がる可能性が高く、勉強法に自信が持てます。
デメリットとしては、通史暗記後に、教科書などで流れや知識を補っていく必要がある点です。
2.2.軽量級がオススメ
どちらを選ぶかは個々の記憶力・勉強時間・志望大学のレベルなどを考慮して選ぶことになりますが、当塾では後者の軽い方を推奨しています。挫折する可能性が少なく、基礎をしっかり固めることができ、早期に日本史の模試の点数を上げることが可能になるからです。
3.通史暗記で使う教材
3.1.導入教材
本格的な通史暗記の前にマンガを読んでいれば、日本史全体の流れを頭に入れることができます。
(1)オススメ日本史マンガ
オススメは以下になります。最もオススメは「新マンガゼミナール」(全2巻)です。2巻で繰り返し読むのに適していて、大学入試用に作られているので、必要最小限の用語や流れが効率的に覚えられます。
「新マンガゼミナール 日本史 古代~近世」「同 近現代」(全2巻、学研教育出版)
「マンガ 日本の歴史がわかる本 全3巻」(三笠書房)
「漫画版 日本の歴史全10巻セット」(集英社)
15~20巻もあるようなマンガ全集は避けるのが賢明です。1周読むだけで15~30時間もかかり、多数回読めない(=暗記できない)からです。
(2)歴史マンガの読み方:10周読んで全てを常識にする
マンガは勉強の合間に週5冊など、繰り返し読んでいきます。5~10周読んで、内容を9割以上記憶したら、教科書等で「流れ」の暗記に入ります。
ただ、その後も20周くらいまで読み続けて、マンガの内容を全て常識にしましょう。その情報が記憶のフック(鈎)になり、他の情報が記憶しやすくなります。
(3)マンガ以外の概説参考書
マンガはちょっと、という人は、以下のような概説参考書を読むのも良いでしょう。暗記法は、小説のようにサラサラと【週2周×5週間で10周】読むなどして、全てを常識にします。
「教科書よりやさしい日本史」(256ページ、旺文社)
「超速!最新日本史の流れ」(全2冊、合計420ページ、竹内睦泰著、ブックマン社)
3.2.通史暗記段階で使う教材(1)軽量級
(1)暗記の中心:オールインワン教材
センター試験日本史で高得点が取れるようになるには、以下の4つの習得が必要になります。
①センター試験レベルの用語暗記(約3000~4000語)
②流れの理解
③表や図版による知識の整理
④センター試験過去問演習
以下の教材はこの4つのうち3~4つが1冊(もしくは2冊組)で暗記できる優れたオールインワン(全てが一つに入った)教材です。
教材数が少なく、ページ数が少ないほど、挫折する可能性が低く、復習回数が多くできて確固とした記憶ができるので、オススメです。
「時代と流れで覚える! 日本史B用語」(165ページ、文英堂)
「スピードマスター日本史問題集」(122ページ、山川出版社)
「センターはこれだけ! 金谷俊一郎の日本史B」(全2冊、合計440ページ、文英堂)
「センター試験 日本史Bの点数が面白いほどとれる本」(447ページ、中経出版)
この中では「時代と流れで覚える! 日本史B用語」が最もオススメです。これさえ理解し、全て暗記すれば、センター試験で7~8割取れるようになります。
特に特筆すべきは、その薄さと図版です。わずか165ページでセンター試験レベルの日本史全体の流れと用語を暗記でき、また、その半分を占める表や図版で用語や流れを整理できます。暗記事項があらかじめ赤字になっているのも良い点です。
(2)暗記の補助教材:教科書と講義系参考書
オールインワン教材ではどうしても理解が不足しますから、教科書か講義系参考書で理解していきます。
「学校の教科書」「詳説日本史B」(山川出版社)
「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(4冊1550ページ、語学春秋社)
「金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本」(4冊943ページ、ナガセ)
「これならわかる!ナビゲーター日本史B」(4冊945ページ、山川出版社)
難関大学志望者には「石川実況中継」がオススメです。分かりやすく、知識的にも十分です。ただし、量が多いので、暗記には向きません、理解用です。
3.3.通史暗記段階で使う教材(2)重量級
(1)理解教材:教科書か講義系参考書
二次に日本史論述がある国公立受験生が、通史暗記と論述対策で共通の教材を使う場合、メインは教科書が最適です。
なぜなら、センター試験や国公立大学の問題の出典は「教科書」なので、教科書だけを暗記していれば合格点を取れるからであり、また、日本史論述は一問一答問題集などで用語や年号だけを暗記しても点は取れず、教科書などで、歴史の流れ(因果関係)や特徴(時代・文化など)を理解し、暗記する必要があるからです。
しかし、教科書は情報が凝縮されているので、分かりにくい、読みにくいという欠点があります。
よって、以下の2つの方法があります。
①教科書型:教科書を暗記用としてメインに、講義系参考書を理解の補助として読んでいく、
②講義系参考書型:教材を1つに絞り、講義系参考書をメインに読んでいく、
どちらを選ぶかは好み次第ですが、教科書で理解が特に問題ない人は教科書型を、講義系参考書の法が読みやすい人は講義系参考書型で良いでしょう。
難関大志望者には、上記と同じで、講義系参考書の中では「石川実況中継」がオススメです。
(2)用語暗記
書き込み教科書か、穴埋め問題集か、一問一答問題集を使います。オススメは以下です。
「書き込み教科書 詳説日本史B」(山川出版社)
「山川 一問一答日本史」(山川出版社)
「一問一答 日本史Bターゲット4000」(石川晶康著、旺文社)
「入試に出る 日本史B 一問一答」(Z会)
「日本史B一問一答 完全版」(東進)
山川の教科書を使っている場合は「山川 書き込み教科書」(山川教科書の文章をそのまま使い、重要語を穴埋めにした穴埋め問題集)がオススメです。最も効率的に用語暗記ができます。
その他の教科書を使っている場合は、穴埋めでなく純粋な一問一答である「山川 一問一答日本史」か、レベル別に分かれている「一問一答 日本史Bターゲット4000」がオススメです。
3.4.共通教材
(1)センター試験対策問題集
センター試験対策問題集の中では、センター試験過去問問題集(センター過去問約17年分を時代順に配列し直して編集した問題集)が最も効率良く理解・暗記が進み、日本史の基礎を確立できます。
センター試験過去問問題集では「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション) 」が最もおススメです。「センター試験への道 日本史」より解説が詳しくなっています。
「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション) 」(159ページ、実教出版)
「センター試験への道 日本史」(156ページ、山川出版社)
(2)年号暗記本
年号暗記は必須です。直接問われることは少なくても、知っていれば、頭が整理でき、センター試験でも私立大入試でも大変役立ちます。
時期的には通史暗記後が良いでしょう。年号を覚える出来事の内容が分からず、年号と出来事名だけ覚えても意味がないからです。
以下がオススメです。
「元祖 日本史の年代暗記法」(旺文社)
「まんが必修年代暗記法日本史」(文英堂)
「高校100%丸暗記 日本史年代」(受験研究社))
「トマスの日本史-1000ダケヨ―日本史総合図解年表と年号暗記法」(聖文新社)
「新 日本史 頻出年代暗記」(学研教育出版)
中でも「元祖 日本史の年代暗記法」は年号だけでなく、将軍や戦乱などのまとめも多く、最もオススメです。
年表・年号・図表の具体的暗記法についてはこちらに書いています。
(3)参考書
日本史の学習中に以下のような参考書があると理解が進みます。
「日本史用語集」(437ページ、6600項目、山川出版社)
これは必携です。用語が分からないとき、辞書代わりに引いて確認します。引いたら、できるだけ問題集などに説明を書いていくと、次回引く手間が省けます。
「詳説日本史研究」(552ページ、山川出版社)
講義型参考書や教科書などで流れが理解しにくいとき、これで調べると理解しやすくなります。
「図説 日本史通覧」(帝国書院)
「山川 詳説日本史図録」(山川出版社)
学校でもらった資料集がある人はそれで結構です。勉強中に写真や地図を参照しておくと記憶の助けになります。入試には資料問題も出ますから、随時見て確認する習慣をつけましょう。
4.通史暗記のモデルケース(1)軽量級:「時代と流れで覚える」
4.1.使う教材とその目的
①「新マンガゼミナール」:予備知識を入れる。
②「石川晶康 日本史B講義の実況中継」:「時代と流れで覚える」だけだと流れや関係を理解しきれないので、必ず「石川晶康 実況中継」などの講義系参考書や用語集で理解を深める。
③「時代と流れで覚える! 日本史B用語」:用語と流れを暗記する。
④「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション) 」:センター試験レベルの知識と理解を完成させる。
4.2.通史暗記の目標
①「新マンガゼミナール」:10周読んで全てを常識にする。
②「石川晶康 日本史B講義の実況中継」:1周黙読し、その後も随時参照する。
③「時代と流れで覚える」の赤字の暗記:赤字の用語暗記が通史暗記の第一目標。
④「時代と流れで覚える」の流れの暗記:右ページの文章を暗記する。
⑤「時代と流れで覚える」の図版の暗記:左ページの図版等を全部暗記する。
⑥「ベストセレクション」:全問即答できるようにする。
4.3.一週間で完全暗記する量を決める
日本史の教材を暗記する方法には、主に以下の3つがあります。
①全体を1周、2周と回していく:全体を一気に暗記できる人はほとんどいないので、挫折する可能性が高い。
②全体を4~8パートに分ける:パートごとに完全に暗記したら次のパートへ進む。
③1週間に完全に暗記するページ数を決めて暗記していく。
創賢塾では③の方法を推奨しています。理由は、1週間という期限とページ数と達成状態(完全暗記=即答)を決めておくことで、目標がはっきりし、暗記意欲が湧くからです。暗記の深さ、意欲には個人差が大きいですが、期限を決めることで、意欲を高め、確実に暗記することができます。
また、1週間に暗記できるページ数が分かると、通史暗記にかかる期間が計算できるメリットもあります。
逆に、期間を決めて、1週間に暗記すべき量を確実に暗記していくことで、期間内に暗記することも可能になります。例えば、4ヶ月と期間を決め、全体を16で割り、1週間に暗記する量を決めて暗記していく、などです。
4.4.具体的通史暗記法
(1)1週間で「時代と流れで覚える! 日本史B用語」を10ページ分完全暗記していく
まず、自分が週に何時間日本史暗記に使えるかを計算し、その時間で1週間で「時代と流れで覚える! 日本史B用語」(165ページ)の何ページ分を完全暗記できるかを推計します。ほとんど知識が入っていない人で、かかる時間は、全史の赤字の暗記に約40時間、流れの暗記に約24時間、図表の暗記に約42時間、総計約110時間です。
「石川晶康 日本史B講義の実況中継」の全史1周黙読にかかる時間は、約40時間です。以上で合計約150時間。復習を入れて約160時間。
国公立文系の受験生は、日本史にせいぜい「平日1時間+土日2.5時間ずつ(合計週10時間)」くらいしか使えないでしょう。160時間を週10時間で暗記しようとする場合、約16週間(4ヶ月)かかります。この場合、「時代と流れで覚える! 日本史B用語」は週約10ページ分、「石川晶康 日本史B講義の実況中継」は約100ページです。
以下は「時代と流れで覚える! 日本史B用語」を週10ページ暗記するとして話を進めます。
(2)かかる時間の目安
1週間で「時代と流れで覚える! 日本史B用語」の1パート10ページの赤字を暗記するのに約2.5時間、流れの暗記に約1.5時間、図表の暗記に約2.6時間、総計約6.8時間です。「石川晶康 日本史B講義の実況中継」の100ページを週1周黙読するのに約2.5時間、総計週9時間かかります。
(3)暗記箇所
通史暗記は「原始・古代」から始める必要は全くありません。次のテスト範囲などでも結構です。
私なら、次のテスト範囲⇒前回のテスト範囲(一番記憶が鮮明に残っている)、とさかのぼって暗記し、既習範囲を終わったら、先取りします。既習範囲は暗記も理解も記憶が残っているので、未習範囲よりやりやすいため、先に進める方が良いでしょう。
(4)用語の意味を調べる
暗記中に定義・意味内容の分からない用語があれば、「山川 日本史用語集」などで調べて「時代と流れで覚える」の欄外などにメモしておきます。意味が分からない用語を覚えても使えないし、すぐ忘れるからです。
4.5.通史暗記のモデルケース
「時代と流れで覚える! 日本史B用語」をメインにした通史暗記戦略
(1)マンガで予備知識を入れる(約30時間)
「新マンガゼミナール」(学研教育出版)を10周ほど読み、予備知識を入れると通史暗記がスムーズになる。かかる時間の目安は、2冊10周で約30時間。以後も、完全暗記するまで15~20周ほど読む。
(2)「時代と流れで覚える! 日本史B用語」の暗記(以下、週10時間、16周合計160時間)
【「石川 実況中継」の100ページを1周黙読+「時代と流れで覚える」の10ページ分の「赤字+右ページ+表」を暗記】
①「石川晶康 実況中継」1周黙読(約2.5時間):まず100ページを1周黙読して流れを理解する。以後も流れが理解できないときに随時参照する。
②「時代と流れで覚える」の赤字の暗記(約2.5時間):「時代と流れで覚える」の10ページの赤字をまず暗記する。暗記法は下記参照。
③「時代と流れで覚える」の流れの暗記(約1.5時間):赤字の暗記と並行して、右ページを10回音読して流れを理解し暗記する。暗記法は下記参照。
④「時代と流れで覚える」の表・図版・系図全体の暗記(約2.6時間):赤字の暗記・右ページの音読と並行して、左ページの表等を暗記する。これで頭が整理され、暗記が定着する。暗記法は下記参照。
⑤トータル週約9時間:「石川晶康 実況中継」1周黙読、「時代と流れで覚える」②~④の暗記で、トータル週9時間前後、2周目以降、復習も入れて約10時間(記憶力・現状の暗記量などの条件により、かかる時間には個人差がある)。
(3)「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション) 」を15周して習得する(約50時間)
「時代と流れで覚える」の暗記を終えた後、「ベストセレクション」の全体を5つくらいにパート分けし、それぞれ15周回し、全問即答できるように暗記する。具体的な暗記法は下記参照。これにかかる時間は約50時間。できれば1~2ヶ月で終わらせる。
(4)「元祖 日本史の年代暗記法」の暗記(約15時間)
「元祖 日本史の年代暗記法」で年号を暗記する。かかる時間の目安は、年号と出来事名をほとんど知らない場合は約30時間、半分知っている場合は約15時間。具体的な暗記法は下記参照。
4.6.「時代と流れで覚える! 日本史B用語」の具体的暗記法
以下、「時代と流れで覚える! 日本史B用語」の具体的暗記法を書いていきます。
「時代と流れで覚える! 日本史B用語」の週間暗記法
(1)10ページ分の赤字の暗記(約2.5時間)
②赤字を音読で暗記:見開き2ページを赤シートで隠し、黒字を黙読していき、赤字を音読で言い、言えなかったら5回前後音読して暗記し、また隠して言う。言えたら次へ。
③見開き2ページを3周暗記(約12分):見開き2ページの赤字を3~4周暗記していったん即答できる状態にする。
④10ページ1周目(約1時間):暗記方法は同じ。時間のある限り先へ進め、10ページまで暗記する。
⑤10ページを20周して暗記(約2.5時間):10ページまで暗記したら、すぐに2周目に入る。5~8周目にテストをして、完全に覚えた項目は鉛筆で×印を付けるなどして外す。1週間で全体を20周して全問即答できる状態にする。
(2)右ページの文章の暗記(約1.5時間)
①10回音読:赤字を覚えるのと平行して、右ページの文章を全史10回ずつ音読して流れを暗記する。流れを理解できないときは「石川晶康 実況中継」などを参照して必ず理解する。
②穴埋めを補いながら音読する:読むときは穴埋め部分を、答えを見ないで言い、解答を見て確認する。覚えた箇所は、確認を省略し、穴埋めを補いながら読む。
③暗記の具体例:【1ページを5回音読(約12分)⇒次のページ⇒……⇒10ページ目⇒1ページ目5回音読……⇒10ページ目5回音読】
(3)表・図版・系図全体の暗記(約2.6時間)
①表の暗記:赤字の暗記、音読と平行して、左ページの表・図版・系図等を全て暗記していく。
②暗記方法:表であれば、その題名と左端の項目だけを見て、表の中味を全て言えるようにする。右の項目数を左側に書いておくと暗記に便利。系図なら、全てを言えるようにする。
例えば、86ページの「享保の改革」の表の場合、左端の「人材登用・財政再建」などの項目と右欄の項目数を見て、右の「側用人の廃止、譜代大名の重視、足高の制……」を全て言う。言えなかったものを音読で覚え、また隠して言う。表全部を言えるようにし、同じページに別の表・図版・系図等があればそれをまた暗記する。
③1ページ分の表を3周暗記(約10分):1ページ暗記し終わったら、更に2~3周暗記していったん即答できる状態にする。
④表を1週間で20周暗記(約2.5時間):1ページを3周して暗記したら、次のページに。後は同じで、10ページ分の表を全て暗記し(約45分)、2周目に入り、1週間で10ページ分を20周する。
(4)復習
暗記したものは必ず全て翌週以降、2ヶ月間、復習を続ける。2週間目以降は、前の週の復習を【赤字と図表:20分×週2回】【右ページ:週1回音読】など行う。
4.7.「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション)」の習得法
「時代と流れで覚える! 日本史B用語」を暗記したあと、「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション)」を暗記していきます。これを全部即答できるようにすれば、センター模試や過去問で7~8割前後には到達するはずです。
(1)暗記の目標=即答
勉強時間により、全体を4~8パートに分けて暗記していきます。例えば週10時間暗記に使える場合、5パートに分け、それぞれを1週間×10時間で15周前後暗記して、全問を即答できる状態にします。
(2)かかる時間の目安
全問即答できるまで、最初の正答率が4~5割の場合、1冊全体で80時間弱、正答率が6~7割の場合、約50時間です。
ここでは正答率が6~7割の受験生を想定して書いていきます。
(3)1週間で完全に暗記できる量を決める
勉強時間が週10時間(平日1時間、土日2.5時間)の受験生の場合、約5週間かかります。この場合、週約32ページを暗記していきます。
(4)「ベストセレクション」の暗記戦略
ここでは全体約160ページを5パートに分けて、1週間に週10時間で32ページずつ習得していくとして書いていきます。
「センター試験日本史B重要問題集(ベストセレクション)」の暗記戦略
1.一週間目:第1パート32ページ
1.1.一周目:解いて理解し赤ペンで書き込む
①1問15秒程度で解く:分からなければすぐに解答を見る。思い出せなければ暗記すればよい。
②理解する:1問解き終わったら解答・解説を読み、理解する。理解は重要なので、理解できなければ「石川 実況中継」等を参照する(ただし最小限にする)。
③赤ペンで書き込む:ここが問題集暗記のキモ。
問題部分に、「解答」と「解くのに必要な解説の一部」を赤やピンクで書きこむ。これは、2周目以降、解答解説を見ずに「解くのに必要な情報」を赤シートで隠して素速く暗記できるようにするため。消せるボールペンだと修正しやすいのでgood。
【赤ペンで書き込む内容の例】:正解の番号を丸で囲む、誤選択肢の間違い部分を==(二重傍線)で消し、上に正解(訂正文)を書きこむ、リード文や章の冒頭の穴埋め部分に正解を書き込む、資料問題の写真に建物名・人物名等を記入する、地図問題で、問題を解くのに必要で暗記すべき地名・事件名・年号等を赤で記入する、など。
あとで必要事項はいくらでも追加修正できるので、サッサと書き込んでいく。復習を重ねるにつれ、年号や関連した人物など、暗記するべき関連情報を書き込んでいくと、理解が深まり、関連情報も一緒に暗記できるので、ベター。
1.2.二周目以降:見開き2ページを3周暗記
問題を赤シートで隠して読み、赤字の内容(解答や、正しい選択肢と誤選択肢のどこが間違っているか等)を言う。覚えていない赤字の内容は、音読したり書いて、1ページ2分ほどで、高速で暗記していく。
見開き2ページを暗記したら、そこを3~4周して、いったん全て即答できる状態にする。これで記憶が深くなり、次回以降の暗記が楽になる。
1.3.三~十五周目:全問即答できるようになるまで繰り返す
完全に覚えた問題・選択肢には鉛筆などで×印をつけ(忘れたら×を消せるように)、(完全に覚えてから)3回連続して正解で×が3つ付いたものは、次周回から飛ばす。
普通の記憶力の受験生は、日本史の問題集は5~6周ではすぐ忘れる。15周くらい繰り返して初めて長期記憶に入るので、地道に復習するしかない。
2.二週間目以降
進め方は同じだが、前のパートの復習を1パート【20分×週2回】程度並行して進めていく。詳しくは下記。
(5)過去問ノートに傾向と対策を書く
1パート終わるごとに、センター試験を受ける人は必ず、そうでない人もできるだけ、以下の2つを「過去問ノート」に書きます。
①自分がどういう部分が弱いか:例えば、文化史・古代史・現代史、資料の読み取り、地図問題、並べ替え問題、正誤問題など。
②これから何を覚える必要があるか:例えば、教科書の図版、欄外、家系図、年号、因果関係など。
具体的には、ルーズリーフに縦線を引き、【鎌倉~室町時代|文化と史料で間違いが多い⇒強化必要。】などと書き、対策を実行していきます。
(6)復習法
第2パートに進んだら、前のパートの復習を必ず並行して進めていきます。いったん完全に暗記していたら、復習は【20分×週2回】程度で済みますが、1ヶ月復習をしないと2~3割以上忘れ、また覚え直すのに多大な時間がかかるので、復習は非常に重要です。
①第2パートに進んだら、第1パートを「20分×週2回」復習する。
②第3パートに進んだら、第1&2パートをそれぞれ「20分×週2回」復習する。
③第4パートに進んだら、第1&2&3パートをそれぞれ「20分×週2回」復習する:「20分×週2回」で少しずつ忘れていくようなら時間を増やす。記憶が深くなっているなら、時間を減らす。
④全パートをいったん暗記してからも、2ヶ月間は週2周、復習を続ける。これで暗記した内容が全て完全な長期記憶に入り、半年~1年以上忘れなくなる。
4.8.通史暗記のモデルケース2
重量級の通史暗記のモデルケースはこちらに書いています。ご参照下さい。
【終わりに】
長くなりましたので、論述対策は次のページに書いています。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。皆さんが日本史を得意科目にするのに、この記事が参考になれば幸いです。